コラム

防水工事の基礎知識|仕組み・工法の種類・施工場所・業者の選び方

2026年6月8日

防水工事の基礎知識|仕組み・工法の種類・施工場所・業者の選び方

屋上やベランダに「そろそろ防水工事が必要かも」と感じていても、そもそも防水工事がどんな工事なのか、何のために行うのか、分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、防水工事の仕組みや目的から、工法の種類・施工場所・劣化のサイン・業者選びのポイントまで、防水工事を検討する前に知っておきたい基礎知識をまとめて解説します。

費用や相場については別記事で詳しく取り上げていますので、あわせてご参照ください。

関連記事:屋上防水工事の費用や修繕費の相場は?工法別の単価や耐用年数を紹介

防水工事とは?その目的と仕組み

防水工事とは、建物の屋上・屋根・ベランダ・バルコニー・開放廊下などに防水層を形成し、雨水や外部の水分が建物内部へ浸入するのを防ぐための工事です。

建物は、完成した時点では防水性能を備えていますが、紫外線・雨風・気温変化などの影響を受け続けることで、防水層は年々劣化していきます。

劣化した防水層を放置すると、雨水が建物内部に浸入し、コンクリートの中性化・鉄筋の腐食・カビや雨漏りの発生といった深刻なダメージにつながるため、定期的な防水工事が必要です。

防水工事には、大きく分けて次の2つの目的があります。

▼防水工事の目的
  1. 水の浸入を防ぎ、建物の耐久性を守る
  2. 建物の美観・資産価値を維持する

建物の構造体(コンクリート・鉄筋・木材)が水分にさらされると、腐食や錆びが進行し、耐久性・耐震性の低下につながります。防水層を健全に保つことは、建物の寿命を延ばすうえで重要です。

また防水工事では、高圧洗浄による汚れ除去・ひび割れ補修・防水材の塗布といった工程を経ることで、外観の美しさも保ちやすくなります。

適切なタイミングでの防水工事の実施は、長期的な資産価値の維持にも有効です。

防水層とは?

防水工事によって形成される「防水層」とは、建物への雨水侵入を防ぐために設けられる層のことです。防水工法の種類によって、使用する素材・施工手順・防水層の構造が異なります。

防水層は、下地の上に複数の素材を重ねることで構成されます。たとえばウレタン防水であれば「プライマー(下塗り)→ウレタン樹脂(防水層)→トップコート(保護層)」という構成が一般的です。

防水層は一度施工すれば半永久的に機能するものではありません。更新時期の目安は工法や仕様、立地条件によって異なります。

国土交通省の長期修繕計画の考え方では、屋上防水等は12〜15年程度、保護仕様の屋根防水は24〜30年程度です。トップコートなど保護仕上げ材は、防水層本体よりも短い周期でメンテナンスが必要になる場合があります。

参照:国土交通省│計画修繕と既存性能をグレードアップする改良工事

防水工事が行われる場所

防水工事が行われる場所

防水工事が必要となるのは、主に以下のような場所です。

施工場所 特徴・防水が必要な理由
屋上(陸屋根) 平坦で雨水が滞留しやすく、紫外線も直接受けるため劣化が早い
バルコニー・ベランダ 人の往来があるため摩耗しやすく、手すり根元などの接合部から浸水しやすい
開放廊下 雨ざらしになりやすく、排水不良が起きやすい
屋根・庇 傾斜があっても防水処理が必要な構造も多い
地下外壁・地下ピット 地中からの浸水圧力に対応する防水が必要

マンションやビルの大規模修繕では、特に屋上・バルコニー・開放廊下の防水工事が中心となります。

防水工事の2つの施工方式(密着工法と機械固定工法)

防水工事には、施工方式として大きく「密着工法」と「機械固定工法」の2種類があります。それぞれの特徴を理解しておくことが、工法選びの第一歩です。

施工方式 概要 特徴
密着工法 防水材を下地に直接接着させる方式 工事費用を抑えやすい。ただし下地の湿気・水分影響を受けやすく、雨漏りが発生している建物には不向き
機械固定工法 鋼製ディスクやビスなどを使い、下地と防水層の間に通気層を設ける方式 下地の湿気を外部に逃がせるため、雨漏りが起きている建物や湿気の多い下地にも対応できる。限られた工期でも対応しやすい。コストはやや高い傾向

密着工法は新築時や下地の状態が良好な場合に適しており、機械固定工法は改修工事・雨漏りが発生している建物・湿気を含んだ下地への施工に適しています。

防水工事の種類と特徴

防水工事の工法は、主に次の4種類です。それぞれに特徴・適した施工場所・メリット・デメリットがあります。

【防水工事の種類】
  • ウレタン防水
  • シート防水
  • FRP防水
  • アスファルト防水

1.ウレタン防水

ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねて防水膜を形成する、塗膜防水の代表的な工法です。継ぎ目のない均一な防水層を形成できるため、複雑な形状の屋上やバルコニーにも柔軟に対応できます。
主な工法には「密着工法」と「通気緩衝工法(絶縁工法)」があり、改修工事では下地の湿気を逃がせる通気緩衝工法が多く採用されています。

項目 内容
費用目安 5,000〜7,500円/㎡
耐用年数 10〜15年程度
適した場所 屋上・バルコニー・複雑な形状の箇所
メリット 形状を問わず施工しやすい・比較的安価
デメリット 職人の技術差が出やすい・定期的なトップコート更新が必要

2.シート防水

シート防水とは、工場で均一に製造された防水シートを貼り付けて防水層を作る工法です。使用するシートの種類によって「塩ビシート防水」と「加硫ゴムシート防水」に分かれます。

塩ビシートの機械固定工法は、下地への接着が不要で湿気の影響を受けにくく、耐用年数が長い点から、マンション・ビルの大規模修繕で広く採用されています。

項目 内容
費用目安 4,000〜7,500円/㎡(工法・種類による)
耐用年数 12〜18年程度
適した場所 広くフラットな屋上
メリット 品質が安定している・メンテナンスの手間が少ない
デメリット 凹凸のある箇所には不向き・機械固定工法は騒音が出ることがある

3.FRP防水

FRP防水とは、ガラス繊維(FRP)のシートを下地に敷き、ポリエステル樹脂を塗り重ねて硬化させる工法です。硬度が高く、人の歩行が多いベランダ・バルコニーに適しています。

一方で、素材の硬さゆえに伸縮性に乏しく、温度変化や建物の変形に追従しにくい特性があります。そのため、大面積の屋上への施工は一般的には不向きです。

項目 内容
費用目安 6,000〜8,500円/㎡
耐用年数 10〜15年程度
適した場所 ベランダ・バルコニー・小規模な屋根
メリット 耐衝撃性・耐摩耗性に優れる
デメリット 大面積の施工には不向き・伸縮性がなくひび割れが発生しやすい

4.アスファルト防水

アスファルト防水とは、アスファルトを含浸させたシートを複数層に重ねて防水層を形成する工法で、100年以上の施工実績を持つ歴史ある工法です。厚みのある防水層を形成できるため、耐久性・防水性が非常に高く、大型ビルや公共施設の屋上防水で広く採用されてきました。

近年は、重量があるため建物への負荷が大きい・施工時に臭気や煙が発生する・撤去・廃棄の費用がかかるなどの理由から、改修時に塩ビシート機械固定工法へ切り替えるケースも増えています。

項目 内容
費用目安 5,000〜7,500円/㎡
耐用年数 12〜18年程度
適した場所 大型物件の屋上・新築施工
メリット 耐久性・水密性が非常に高い・実績豊富
デメリット 重量があり建物への負荷が大きい・施工時に臭気が発生する場合がある

関連記事:防水工事の種類は?その特徴・耐用年数・工法を徹底解説!

防水工事が必要な劣化サイン

防水層の劣化は、漏水だけでなく、さまざまな形で現れます。以下のような症状が確認できた場合は、早急に専門業者へ相談しましょう。

劣化サイン 内容と注意点
色褪せ・チョーキング 塗膜が白い粉状に崩れる「チョーキング」は、防水性能の低下を示す初期サイン。放置すると苔や汚れの付着・堆積につながる
ひび割れ(クラック) 防水層や下地のひびは、水の浸入経路になりやすい。施工不良が原因の場合もある
防水層の膨れ 下地の水分が熱で膨張し、防水層を内側から押し上げる現象。破損すると雨漏りに直結する
シートの剥がれ・浮き 端部・接合部からの剥がれは、浸水リスクが高い状態
屋上への水たまり 排水不良または防水層の変形が考えられる。長期間の滞留は防水層の劣化を加速させる
雑草の繁茂 防水層に隙間や亀裂が生じ、湿気が溜まっているサイン。根が防水層を突き破ることもある
ドレン(排水口)の詰まり・錆び 排水機能の低下により、屋上に水が滞留しやすくなる
雨漏り・天井の水染み すでに建物内部へ水が侵入している状態。被害は急速に拡大するリスクがあるため、速やかな対応が必要

これらの症状が一つでも確認できた場合は、自己判断での対処は避け、専門業者による現地調査を依頼しましょう。特に雨漏りが発生している場合は、時間が経つほど補修範囲が広がり、修繕費用が増大するリスクがあります。

また、見た目に変化がなくても前回の防水工事から10〜15年が経過している場合は、専門業者による点検がおすすめです。

防水工事の主な費用内訳

防水工事の見積もりには、防水材の施工費だけでなく、以下のような諸経費が含まれます。

防水工事の品質と耐久性を左右するためにも、適切に見積もりに反映されているかを確認しましょう。

費用項目 内容
高圧洗浄費 既存防水面の汚れ・苔・油分を除去する作業。防水材の密着性を確保するために必須
下地補修費 ひび割れ・膨れ・剥離箇所の補修。この工程の丁寧さが防水層の寿命に直結する
プライマー塗布費 下地と防水材の密着性を高めるための下塗り材
改修ドレン設置費 既存の排水口が劣化している場合に、改修用ドレンを被せて排水機能を回復させる
脱気筒設置費 通気緩衝工法で必要となる部材。下地に溜まった湿気を外部に逃がす役割を担う
トップコート費 防水層を紫外線・摩耗から保護する仕上げ塗装
廃材処分費 既存防水材の撤去・廃棄にかかる費用
足場・仮設費 建物規模によっては足場の設置が必要
保証・アフターサービス費 施工後の保証書発行・定期点検にかかる費用

見積書にこれらの項目が明記されているかどうかは、業者の施工品質を判断する重要なポイントです。「防水工事一式〇〇万円」のような曖昧な記載の場合は、どの工程が含まれているかを必ず確認しましょう。

防水工事の会計処理:修繕費と資本的支出の違い

マンションやビルのオーナー・管理組合にとって、防水工事の会計処理は重要なポイントです。防水工事の費用は、「修繕費」として計上できるケースと、「資本的支出」として減価償却が必要なケースに分かれます。

区分 内容 会計処理
修繕費 建物を元の状態に戻すための工事(原状回復・現状維持) その年に全額費用計上できる
資本的支出 建物の耐用年数を延ばしたり、価値を高めたりする工事 耐用年数に応じて減価償却が必要

防水工事が「修繕費」として認められるのは、主に以下のケースです。

▼防水工事が修繕費として認められるケース
  • 雨漏りが発生しており、それを補修するための工事
  • 既存の防水層を同等のグレードで張り替える原状回復工事

なお、防水工事の費用が資本的支出になるかは、工事の内容や実態で判断されます。

国税庁では、固定資産の維持管理や原状回復のための支出は修繕費とされ、使用可能期間を延長させたり価値を高めたりする部分は、基本的に資本的支出です。

判定が明らかでない場合には、60万円未満または取得価額のおおむね10%以下であれば修繕費とできる基準などが示されています。加えて、20万円未満またはおおむね3年以内の周期で行う修理についての取扱いもあります。

実際の処理は個別事情によって異なるため、判断が難しい場合は税理士や会計士などの専門家に相談しましょう。

参考:資本的支出と修繕費等|国税庁修繕費とならないものの判定|国税庁

防水工事を依頼できる業者の種類と特徴

防水工事を依頼する際は、業者の種類と得意分野を理解した上で選ぶことが重要です。主な業者の種類と、防水工事における対応力を整理します。

業者の種類 防水工事への対応力 特徴・注意点
防水工事専門業者 防水工事・雨漏り修繕に特化。工法の選定から施工・アフターケアまで一貫して対応できる。最も有力な依頼先
塗装業者 ウレタン・FRPの密着工法など限定的な防水塗装は対応できる場合があるが、下地診断や高度な工法の判断は苦手
工務店・リフォーム会社 防水工事は外注(下請け委託)になることが多く、中間マージンが発生しやすい
大規模修繕専門業者 マンション・ビルの規模に対応した設計・施工・管理が可能。防水工事を大規模修繕の一環として一括対応できる

防水工事は、下地の状態や既存防水の種類によって適切な工法が変わる専門工事です。価格だけでなく、診断力、施工実績、保証内容、施工後の点検体制まで含めての比較をしましょう。

防水施工技能士とは?資格について知っておこう

防水施工技能士とは?資格について知っておこう

防水工事には「防水施工技能士」という国家資格があります。防水施工技能士は、職業能力開発促進法に基づく技能検定制度によって認定された資格で、防水工事の知識・技術を持つことを証明するものです。

防水施工技能士の試験は工法ごとに区分されており、「ウレタンゴム系塗膜防水工事作業」「シーリング防水工事作業」など複数の専門分野があります。1級・2級の等級があり、1級は実務経験7年以上または2級取得後2年以上(※職業訓練歴、学歴等により短縮される場合あり)が受検要件です。

業者を選ぶ際に、防水施工技能士が在籍しているかどうかを確認することも、施工品質を見極める一つの指標となります。

防水工事の適切な時期はいつ?

防水工事は、気温や湿度が安定しやすい春・秋に施工しやすい傾向です。特に塗膜系防水では、材料メーカーが標準施工温度10〜30℃、最低施工温度5℃などの条件を示しており、雨天・降雪時は施工を避ける必要があります。

ただし、実際の施工可否は工法・材料・地域条件によって異なるため、時期の判断は施工業者と相談のうえ進めるのが確実です。

防水工事の業者選びで確認すべきポイント

防水工事を依頼する業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認することで、施工品質と費用の妥当性を判断しやすくなります。

確認ポイント 内容
防水工事の専門実績があるか 施工事例・実績件数を公式サイトや資料で確認する
防水施工技能士が在籍しているか 国家資格保有者の有無は施工品質の指標になる
現地調査を行ってくれるか 見積もり前に必ず現地を確認し、下地の状態を診断してもらう
見積書に工法名・材料名が明記されているか 「防水工事一式」のような曖昧な記載は要注意
必要な諸工程が含まれているか 下地補修・ドレン改修・脱気筒設置などが含まれているか確認
保証内容が明示されているか 保証年数・保証範囲・保証書の発行有無を確認する
相見積もりを取っているか 最低でも2〜3社から見積もりを取り、内容を比較する
施工後のアフターサービスがあるか 定期点検・不具合時の対応体制を確認する

特に「相見積もり」は、適正価格の把握と悪質業者の排除に有効です。価格だけでなく、工事内容・保証・実績を総合的に比較しながら業者を選びましょう。

関連記事:4種類の屋上防水工事について解説!費用や点検のポイント

防水工事に関するよくある質問

防水工事に関して多くの方が疑問を感じやすいポイントを、4つピックアップしました。

【防水工事に関するよくある質問】
Q. 防水工事はどのくらいの頻度で行うべきですか?
Q. 防水工事は大規模修繕と同時に行うべきですか?
Q. 防水工事と遮熱塗料はどう違いますか?
Q. 防水工事はDIYで対応できますか?

防水工事の基礎知識として、ぜひ参考にしてください。

Q. 防水工事はどのくらいの頻度で行うべきですか?

防水工事の適切な頻度は工法によって耐用年数が異なりますが、一般的には10〜18年程度が防水工事の目安です。ただし、使用する工法や環境によってはそれ以前に劣化が進むこともあります。

前回の施工から10年程度経過した場合は、専門業者に点検を依頼することがおすすめです。また、定期的なトップコート更新(5〜8年程度)を行うと、防水層の寿命を延ばせるでしょう。

Q. 防水工事は大規模修繕と同時に行うべきですか?

大規模修繕に合わせて防水工事を実施すると、足場費用の共有や工程の効率化により、コストを抑えやすくなります。多くの管理組合では、防水工事を大規模修繕の主要工事のひとつとして計画しています。

ただし、劣化が著しい場合は修繕の時期を待たずに対応が必要なこともあるため、早めに専門業者に相談することが大切です。

Q. 防水工事と遮熱塗料はどう違いますか?

防水工事は「雨水の浸入を防ぐこと」を目的とした工事であり、遮熱塗料は「太陽光を反射させ、屋上や建物内部の温度上昇を抑えること」を目的とした塗装です。

遮熱塗料だけでは防水効果はないため、防水層を形成した上でその保護層(トップコート)として遮熱塗料を使用するのが一般的となります。

Q. 防水工事はDIYで対応できますか?

市販の防水塗料を使ったDIYも可能な場合がありますが、専門的な下地診断・工法の判断・均一な施工精度が求められる防水工事本体はDIYには向きません。

施工不良が起きた場合に短期間で再工事が必要になるリスクがあるため、排水口周りの清掃や簡単な維持管理にとどめ、防水工事は専門業者へ依頼しましょう。

防水工事は実績豊富な業者にお任せ

本記事では、防水工事の目的・仕組みから、工法の種類・施工場所・劣化サイン・会計処理・業者の種類と選び方まで、防水工事を検討する前に知っておきたい基礎知識をまとめました。

防水工事は、建物を長期にわたって守るための重要なメンテナンスです。適切な工法を選び、信頼できる業者に依頼することが、建物の長寿命化と修繕費の最適化につながります。

弊社は、施工実績6,000件超の豊富な経験をもとに、関西圏を中心にマンション・ビルの防水工事や大規模修繕を数多く手がけてきました。現地調査から工法の提案、施工、アフターサポートまで一貫して対応しており、防水工事に関するご相談も丁寧に承ります。

「防水層の状態が気になる」「雨漏りが発生しているがどう対処すればよいかわからない」「そろそろ大規模修繕を検討したい」といったお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。

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