【マンション大規模修繕】ベランダ工事の内容は?よくある住民トラブルと注意点も!
2025年5月16日


マンションの大規模修繕工事の中でも、居住者の協力が欠かせないのがベランダ(バルコニー)の改修工事です。作業員がベランダ内に立ち入るため、「どんな工事が行われるの?」「工事期間中は洗濯物が干せる?プライバシーは守られるの?」「プランターや私物はどうすれば?」など、住民にとっては多くの疑問や不安がつきものですし、その他の改修工事と比べてトラブルが起こりやすい工事でもあります。
そこでこの記事では、マンションの大規模修繕で行われるベランダ工事の具体的な内容から、住民にお願いすること、よくあるトラブルとその対策まで、わかりやすく解説します。
大規模修繕を控えておられるマンションオーナー様や管理組合のご担当者様は、ぜひ参考にご覧ください。
<目次>
ベランダは共用部分?専有部分?工事対象になるのはどの箇所?
マンションのベランダ(バルコニー)は、住戸ごとに使用できる「専用使用権」が与えられているため専有部分と誤解されやすいですが、避難経路としての役割があるので、原則として「共用部分」に分類されます。
また、雨風にさらされるベランダは美観や機能が低下しやすい場所であり、マンション全体の資産価値と安全性の保全にも大きく関係します。
上記の理由から、大規模修繕ではベランダ全体が工事の対象となり、外壁の塗装に加えて、防水層や排水設備なども必要に応じて修繕工事が行われます。
なお、プランターやテーブル、イスなどの私物をベランダに置くことは基本的にNGで、さらに窓(サッシ)も共用部分とみなされ、所有物件であっても勝手に交換することはできません。
関連記事:「ベランダ防水工事の工法・費用・特徴を解説!修繕費を安くする方法まとめ」
マンション大規模修繕で行われるベランダ工事の内容
マンションの大規模修繕で実施されるベランダ工事は、以下の工程と内容で進行するのが一般的です。
【ベランダ工事の工程と内容】
- 足場組立
- 壁面調査
- 下地およびタイル補修
- シーリング工事
- 高圧洗浄
- 塗装
- 防水工事
- 排水溝・ドレン(排水口)の清掃や修繕
足場組立
マンションの大規模修繕では、住戸内に入ることなく外側から作業するのが基本です。ベランダの工事中、作業員は足場を伝ってベランダに出入りし、塗装工事や防水工事などの作業を進めていきます。
壁面調査
足場の設置後は、ベランダ壁面に劣化やひび割れがないか調査します。打診検査や目視によって補修の必要な箇所を正確に把握することが目的です。この調査結果をもとに、補修工事の計画が立てられます。
下地およびタイル補修
次にコンクリートの剥がれやひび割れなどを修復します。ベランダ床のタイルが浮いていたり欠けていたりする場合は、張り替えなどの補修も行います。
シーリング工事
サッシ周りや壁の継ぎ目は防水・気密のためにシーリング材(コーキング材)が充填されています。シーリング材が劣化すると雨水の浸入リスクが高まるので、古いシーリング材を撤去し、新たに充填する工事を行います。
高圧洗浄
ベランダ床や壁面、手すりなどに長年蓄積した汚れやカビを高圧洗浄機などでしっかり洗い落とします。後工程の塗装や防水処理の密着性を高めることにもつながる重要な作業です。
塗装
ベランダの壁面や天井などの塗装を行います。美観の向上だけでなく、金属部分のサビ防止や素材を保護するためにも必要です。塗料の種類や色については、事前に組合で協議したり、住民アンケートで決定したりするのが一般的です。
防水工事
ベランダ床の防水層は経年劣化で機能が低下し、雨漏りや内部が腐食する原因となります。防水工事では、ウレタンやシートなどを用いて新たな防水層を形成します。
排水溝・ドレン(排水口)の清掃や修繕
排水溝やドレン(排水口)が詰まっていると、雨水が流れずベランダに水たまりができる原因となります。そのため、清掃や必要に応じて部品の交換・修繕を行います。
関連記事:「マンションにおける大規模修繕の進め方は?準備から工事完了までの手順を解説」
大規模修繕のベランダ工事中に求められる準備と対応

マンションの大規模修繕工事が始まると、網戸や私物の撤去、洗濯物やエアコンの制限など、ベランダの使用には一定の制限が生じます。また、騒音やプライバシーの確保など、日々の生活への影響も気になるポイントです。
そこで次に、ベランダ工事中、住民にお願いが必要な準備・対応をご紹介します。
窓と網戸について
ベランダ工事期間中は網戸を取り外す必要があります。そのため、施工会社または管理組合から、取り外した網戸などを保管する保管用袋やブルーシートを配布することが一般的です。
なお、網戸の取り外しは基本的に住民自身に実施いただくよう依頼しますが、さまざまな事情で作業が困難な場合もあります。どのように対応するか、あらかじめ検討しておきましょう。
ベランダにある物の取り扱いについて
ベランダに置いてある荷物やプランター、収納ボックス、物干し竿、衛生アンテナなどは、洗浄や塗装を行う際の妨げとなるため、あらかじめ撤去が必要になります。室内で保管していただくか、一時的にマンションの共用部分の一角を仮設の物置スペースとして解放し、そちらへの移動を依頼しましょう。
またエアコン室外機については、一時的に移動または取り外しが求められることも。移動については作業員が無償で行ってくれる場合が多いですが、取り外しについては有償サービスとする会社が多いので施工会社に確認が必要です。
洗濯物・エアコン使用の制限について
防水工事や塗装作業中は洗濯物に臭いや塗料が付くリスクがあるため、ベランダでの洗濯物干しが禁止されます。期間は数日から数週間に及ぶので、施工会社もしくは管理組合から室内干し用洗剤の配布を実施するケースもあります。
また、室外機の取り外しが必要な場合は、エアコンが一時的に使用できなくなります。住民への周知を徹底しましょう。
騒音・振動の影響について
大規模修繕の期間中は、工事に伴う騒音や振動が発生します。特に小さなお子さんや高齢者、ペットがいるご家庭、在宅勤務をされている方にとっては、生活に支障が出る可能性も。住民へは、日中の外出や公共施設の活用、静かな作業スペースの確保など、騒音・振動を回避するための工夫を提案しましょう。
塗料の匂いについて
外壁塗装や防水工事の際、塗料の匂いがベランダから室内に入り込むことがあります。塗料の種類によっては刺激が強い上、換気がしづらい状態が続くと頭痛や吐き気などの体調不良を引き起こすケースも。特に小さなお子さんや高齢者、ペットがいるご家庭では注意が必要な工程です。
対策としては、例えば、作業中はなるべく別室で過ごす、窓と吸気口をしっかり閉めておく、空気清浄機を使うなどが有効ですので、塗装工程の前に住民に周知しておきましょう。
関連記事:「外壁塗装時の匂いが気になるときはどうしたらいい?その原因と匂いへの対策」
プライバシーについて
ベランダ工事中は作業員が足場からベランダに出入りするため、室内の様子が外から見えやすくなります。特に日中、在宅時間が長い方はプライバシーの確保が気になるところです。
足場の組立は大規模修繕工事の序盤に実施され、工事期間中は何度も作業員の行き来が発生しますので、大規模修繕が始まる前までに、室内が見えにくい遮像タイプのレースカーテンや、目隠しシートなどをご準備いただくように周知しておきましょう。また、必要に応じて施工会社や管理組合から目隠しシートを配布することも検討します。
関連記事:「大規模修繕工事にどれぐらいの期間が必要?規模別・工事内容別の期間目安や工事の流れを解説」
マンション大規模修繕のベランダ工事中でよくあるトラブル

ベランダの修繕工事は、大規模修繕の中でも住民の生活と密接に関わる工程のひとつです。そのため、認識の行き違いや生活への影響から、思わぬトラブルが発生することも少なくありません。ここではベランダ工事でよくあるトラブル例と対策をご紹介します。
住民と施工業者間の認識違い
大規模修繕では、マンション住民と施工業者の間で工事内容やスケジュールについての認識違いが起きがちです。
具体的には「◯日までにベランダの片付けが必要だと知らなかった」「工事の時間帯が聞いていた話と違う」といったトラブルが見られます。また「ベランダ内にある私物の撤去費用を施工会社から請求された」「エアコン室外機の取り外しが有料だとは知らなかった」など、お金に関するトラブルも頻発しています。
こうしたトラブルを防ぐには、事前説明会や掲示板の確認が大切です。加えて、準備することや注意点のチェックリストを配布するのも有効な対策となります。
私物の破損・紛失
ベランダ工事中、ベランダ内にあるプランターや収納ボックス、物干しなどの私物は、作業の邪魔になったり、塗料が付着したり破損したりするリスクがあります。
私物が破損・紛失した場合、その補償を巡ってトラブルになることもあるため、着工前までに片付けが完了するよう周知徹底しましょう。
工事の進行による生活へのストレス
工事中の騒音や振動、作業員の出入りによる影響は想像よりもストレスになりがちです。大まかなスケジュールが共有されていたとしても、特に日中在宅している人にとっては、いつ作業員が通るのか?作業が行われるのか?と細かなスケジュールがわからず気が落ち着かないもの。また、洗濯物が干せない・窓が開けられないといった制限も重なると、さらに不満が募りやすくなります。
工事期間中はこまめに掲示板やお知らせをチェックしてもらうよう住民にお願いし、騒音の多い工程中は在宅を避けたり、過ごす部屋を変えたりなどの工夫を提案しましょう。
盗難・侵入
工事用の足場が外壁に組まれると、それを利用した不法侵入や空き巣被害のリスクが高まります。実際、大規模修繕中のマンションで空き巣被害が報告されるケースは珍しくありません。特に1〜2階の住戸や、ベランダが隣とつながっているタイプの住戸は注意が必要です。
防犯用のサッシの補助錠や防犯フィルムを施工会社もしくは管理組合から配布したり、施錠の徹底と貴重品の管理を住民に依頼するなどで、盗難被害や侵入被害が発生しないように対策しましょう。
ベランダ工事中のトラブルを防ぐためにできること
ベランダ工事中のトラブルを防ぐには、マンション住民向けの大規模修繕説明会を開催すること、そして管理組合や施工会社からの連絡をこまめにチェックしてもらうように住民に依頼することが大切です。
工事前の説明会はマスト
大規模修繕の実施前に住民向けの説明会を開催し、工事の流れや期間、注意点、工事中の制約事項などを説明します。強制参加とまではいきませんが、トラブルを防ぐためにも、可能な限り参加してもらうよう依頼しましょう。お子さんの多いマンションでは子ども向けの説明会も実施し、マンションの周りを一緒に歩きながら、危険な場所・触ってはいけない物を伝えます。
また、説明会は住民から直接意見が聞ける貴重な機会でもあります。住民からの疑問に明確に回答できるよう、あらかじめ想定問答集を用意しておくと安心です。加えて、質疑応答の内容を文書で配布し、当日参加できなかった住民にも情報を共有しましょう。
情報共有の徹底とお知らせの確認依頼
洗濯物の外干し可否や、詳しい作業内容、予定変更などの重要な情報など、工事に関するお知らせは、掲示板や配布資料、ポストへの投函で共有します。
見逃してしまうと思わぬトラブルに巻き込まれることが考えられるので、住民へは、掲示板とポストは毎日チェックしていただくこと、そして気になることがあれば遠慮せずに管理組合や施工会社にご相談いただくようにお知らせしましょう。小さな疑問を放置しないことが、トラブル回避につながります。
ベランダ工事は住民の協力も成功のカギ
ご紹介したように、ベランダ工事は私物の撤去や洗濯物の制限、エアコンの使用制限など、住民の協力が不可欠な工程であり、関わりが多い分、トラブルが発生しやすいのも事実です。
私物の移動やさまざまな制約への理解、そしてこまめな情報共有が、トラブル防止に大きく役立ちます。施工会社との連携を図りながら、トラブルのない大規模修繕を目指しましょう。
マンションの大規模修繕は白鳳にお任せください

私たち株式会社 白鳳は6,000件以上の大規模修繕に携わってきた実績を持ち、設計から施工まで一貫対応が可能な大規模修繕専門企業です。外壁補修やリフォーム、建材の張り替えの他にも、床や内装、タンク、配管、建具などの塗装も得意としています。
マンションは外部環境や経年劣化により、定期的なメンテナンスや修繕の必要が生じます。建物を長く安全に保つためにも、長期的に安心してお付き合いできる優良業者に依頼することが大切です。
マンションごとの状況に合わせて最適な方法をご提案いたしますので、大規模修繕・外壁塗装でお悩みのマンション管理会社様、管理組合の担当者様、オーナー様はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。ご相談は無料です。
