コラム

大規模修繕で確認申請が必要なケースとは?トラブル事例と対策を解説

2025年7月9日

大規模修繕で確認申請が必要なケースとは?トラブル事例と対策を解説

マンションの大規模修繕を計画する際、「確認申請(建築確認)」の手続きが必要かどうかで悩むオーナー様や管理組合様は少なくありません。

一般的に大規模修繕は建物の維持管理を目的とした修繕・模様替えに該当するため、事前の手続きは不要だと思われがちですが、工事の内容や建物の規模によっては法令に基づき確認申請が義務付けられるケースが存在します。もし必要な手続きを怠って工事を進めてしまうと、建築基準法違反として行政処分や工事中断といった重大なリスクを負うことになります。

そこで今回は、確認申請の基本的な仕組みから、マンションの大規模修繕において手続きが必要なケース・不要なケースの具体的な違いを徹底解説します。さらに、2025年4月の建築基準法改正に伴う最新の区分変更、自治体ごとの運用の違いによる落とし穴、よくあるトラブル事例、手続きにかかる費用や流れまで、実務に直結する専門知識を網羅して分かりやすくご紹介します。

「確認申請」とは?

「確認申請」とは、建物の工事計画が建築基準法や関係法令に適合しているかどうかを審査してもらうための手続きで、法令上は「建築確認」と呼ばれることもあります。

住宅・商業ビル・工場など幅広い建築物が対象で、基本的には新築の場合に必須の手続きとなりますが、増築・改築・用途変更などのリフォーム工事でも、一定の条件に該当するものであれば手続きが必要です。

手続きは、建物のオーナーや工事業者の担当者が、市区町村の建築主事または指定確認検査機関に申請します。審査に通ると「確認済証」が交付され、それを受けてようやく着工できるようになります。

確認申請が必要な工事を無届けで進めてしまうと、建築基準法違反となり、是正指導や行政処分の対象となる恐れがあるため、工事の計画段階で確認申請の要否をしっかり確認することが必要です。

実務上の重要なポイントとして、確認申請は必ず「工事の着工前」に完了していなければなりません。審査の途中でフライングをして着工することは認められず、確認済証が手元に届くまでは一切の工事を進めることができないため、全体のスケジュール管理に直結します。

また、確認申請は単に書類を提出して終わりではなく、工事完了後には「完了検査」を受け、法令通りに施工されたことを証明する「検査済証」を取得するまでが一連の法的手続きの流れとなります。資産価値を維持するためにも、これらの手続きを適切に履践することが求められます。

マンション大規模修繕で確認申請が必要なケース

大規模修繕とは、建物の劣化を防ぎ、長期的な安全性・快適性を維持することを目的に行われる計画的な工事です。主に外壁のひび割れ補修や防水工事、給排水設備の更新などが対象となり、一般的には10〜20年ごとに実施されます。見た目を整えるだけでなく、建物の構造や性能の維持・向上を目的とした重要な取り組みです。

このようなマンションの大規模修繕工事は、原則として「修繕」や「模様替え」に該当するため、確認申請(建築確認申請)は不要です。しかし、次の2つの条件を満たす場合は、確認申請の提出が義務付けられます。

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①対象建築物が「1号〜3号及び新2号建築物」に該当

建築物の安全性・快適性・環境への配慮を規定した法律「建築基準法」の第6条第1項では、建築物を構造・形態・規模などで分類しており、そのうち「1号〜3号及び新2号建築物」は、安全性や用途上の観点から、確認申請の対象とされています。

なお、2025年4月の建築基準法改正により、従来の「4号特例(4号に区分されていた一般的な戸建てについて確認申請が原則不要になる特例)」が見直され、1号・2号・3号に加えて、新たに「新2号建築物」と「新3号建築物」という区分が導入されています。

また、1号建築物のうち特殊建築物の規模も、「用途部分の床面積100㎡を超えるもの」から「用途部分の床面積200㎡を超えるもの」へと変更されました。

簡単に説明すると「4号が新2号(確認申請必要)と新3号(確認申請不要)に分けられて、確認申請の対象が広がった」という状況です。

マンションの多くは非木造2階建て以上または延べ面積200㎡超の「3号建築物」に該当し、従来の2号・3号の条件と定義は変更されていません。そのため、法改正後も、引き続き確認申請の条件の一つを満たすことになります。

建築物の種別該当条件
第1号(特殊建築物)用途部分が200㎡超ホテル病院映画館など
第2号(木造)3階以上または延床500㎡・高さ13m・軒高9m超木造アパートなど
第3号(非木造)2階以上または延床200㎡超マンションなど
新2号(木造)2階以上または延床200㎡超の平屋建て住宅や小規模施設
新3号(木造)平屋建てまたは延床200㎡以下※従来通り構造計算に関する規定などが審査簡略住宅や小規模施設

詳しくは国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」を参考にご覧ください。

ただし、同じ規模・構造の建築物でも、用途地域によっては確認申請が不要な場合や、自治体の条例によって独自の規制が設けられている場合があります。事前に所管の行政機関へ確認しましょう。

実務においては、ご自身の管理するマンションがどの区分に属しているかを正確に把握することが第一歩となります。一般的なファミリー向けマンションや賃貸マンションの大半は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で建てられているため、この「第3号建築物」に自動的に該当します。

つまり、規模の面からはすでに確認申請が必要な対象建築物の条件をクリアしていることになるため、次に解説する「工事の内容(主要構造部の過半に手を加えるか)」が、確認申請の要否を分ける極めて重要な分かれ目となります。

②主要構造部の過半に手を加える修繕に該当

建築基準法第2条第14項では、「建築物の主要構造部の一種類以上について行う過半の修繕」は、確認申請が必要な行為として定義されています。ここでいう主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段を指します。

つまり、壁や柱などの建物を支える重要な部分について、「全体の半分以上」を修繕するような工事は、原則として確認申請が必要になるということです。

【確認申請が必要な大規模修繕の事例】

  • 耐震補強など建物の構造安全性に影響する工事
  • 柱や梁などの構造部材を含む大規模な補強工事
  • バルコニーや共用廊下の形状変更など構造や用途に関わる工事
  • エレベーターの完全撤去一括改修や準撤去型の大規模更新

また、外壁の大規模な意匠変更についても、塗装色や素材の変更によって景観条例に抵触する場合は確認申請が必要です。

ここでいう「全体の半分以上」という基準は、実務において非常に判断が難しい部分です。たとえば、マンション全体の耐震性を高めるために、多くの耐力壁(構造上重要な壁)にカーボンファイバーを巻き付けたり、鉄骨のブレースを増設したりする工事を行う場合、その壁や柱の修繕面積が建物全体の5割を超えると確認申請が必要になります。

また、エレベーターの改修についても、カゴやワイヤーの単純な消耗品交換であれば不要ですが、昇降路の構造体を組み替えたり、システムを根底から見直す準撤去型の大規模リニューアルを行う場合は、建築確認の対象となる可能性が非常に高くなります。

判断に迷う場合は、必ず設計図書を基に専門の施工業者や行政の建築指導課へ事前相談を行うことが推奨されます。

大規模修繕で確認申請が不要なケース

大規模修繕で確認申請が不要なケース

「1号〜3号・新2号建築物」に該当し、かつ主要構造部の過半に及ぶ工事は、建築基準法に基づく確認申請が必要となるケースがあると説明しましたが、マンション大規模修繕の場合、多くの修繕工事が建物の構造そのものには大きく関わらず、確認申請が不要となるケースがほとんどです。

主要構造部に該当しない部分:
間仕切壁、間柱、庇、掲げ床、最下階の床、小梁、附け柱、局部的な小階段、屋外階段(※例外あり)

具体的には、以下のような工事が該当します。

  • 意匠変更がない場合での外壁のひび割れ補修や塗り直し
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 共用部の照明設備や給排水管の更新
  • 構造体に影響しない範囲での廊下や階段の床材張り替え

これらの工事は、あくまで既存の性能維持や美観回復を目的とした部分的な修繕であり、建物の強度や構造に直接影響を及ぼさないため、確認申請の対象とはなりません。

分譲マンションや賃貸マンションで定期的に行われる一般的な大規模修繕工事(いわゆる12年〜15年周期のメンテナンス)の多くは、この「不要なケース」に該当します。

外壁の下地補修やタイルの張り替え、屋上のウレタン防水や塩ビシート防水、エントランスや廊下のLED照明への交換などは、建物の骨組み(主要構造部)を根本から作り直すものではないためです。

ただし、確認申請が不要だからといって、どのような施工をしても良いわけではありません。建築基準法の集団規定や、お住まいの自治体が定める景観条例、騒音制限などは遵守する必要があるため、施工会社には高い法令遵守の意識と、周辺環境への配慮を伴う確かな施工品質が求められます。

大規模修繕における確認申請の落とし穴

条件に該当せず、確認申請は不要だと思っていたところ、実は手続きが必要だったというケースがあります。

そこで次に、マンション大規模修繕において、よくある確認申請の落とし穴を2パターンご紹介します。

落とし穴①:自治体・地域ごとによる条件の相違

確認申請の要否は、全国共通のルールに基づくものの、最終的な解釈や運用は自治体によって異なるのが実情です。

たとえば「過半におよぶ修繕」の解釈については、建物全体の構造部に対する過半か、外壁や屋根など個別の構造部に対する過半かで判断基準が異なる場合があったり、屋外階段についても、単なる附属設備とみなされるか、避難経路としての重要な役割があると判断されて主要構造部とされるかで、結論が変わったりすることがあります。

また、地域によっては、外壁の色を変更するなどの外観変更に対しても、景観条例やまちづくり条例の観点から申請を求められたり、都市計画区域や準都市計画区域では、用途地域や防火規制によって追加の届け出や許可が必要になる場合もあります。

この自治体ごとの運用の違いは、多くのオーナー様や管理組合様が見落としがちなポイントです。例えば、あるA市では「屋外階段の全面改修は主要構造部の修繕にあたらない」と判断されても、隣のB市では「避難上の主要な階段であるため、過半の修繕に該当し確認申請が必要」とされるケースが実際にあります。

このように行政の「建築主事」の解釈次第で手続きの有無が変わるため、全国一律の基準だけで自己判断するのは大変危険です。特に、特定の地域特有の風致地区や景観形成地区に指定されているマンションでは、色見本の提出や事前の協議に数ヶ月を要することもあるため、地域に根差した実績を持つ施工パートナーの存在が不可欠となります。

詳しくは、管轄の建築指導課や建築主事に確認しましょう。

落とし穴②:マンションの用途変更

もう一つ見落としがちなのが、「用途変更」が伴う大規模修繕です。たとえば以下のような工事が該当します。

  • 空室を住居から事務所や店舗、宿泊施設(民泊やホテルなど)に変更する
  • 共用スペースをテレワーク用個室やレンタルオフィスに改修する

このような用途変更は、たとえ工事規模が小さくても、建築基準法上、確認申請が必要となる可能性があります。

加えて、用途変更は消防法やバリアフリー法、用途地域の制限、既存不適格(建築・建設時は合法でも法改正により不適合となった物件)などにも考慮しなければなりません。

確認申請の手続きにかかる費用

確認申請の手続きにかかる費用は、自治体ごとに異なるものの、面積に応じて数万円から数十万円になるのが一般的です。たとえば大阪府の場合、確認申請の手続きにかかる費用は次の通りです。

建築確認・検査等の申請手数料【令和7年4月改訂版】より引用

床面積の合計確認申請の費用
100㎡以下38,000円
100㎡超から200㎡以下50,000円
200㎡超から300㎡以下72,000円
300㎡超から1,000㎡以下97,000円
1,000㎡超から2,000㎡以下130,000円
2,000㎡超から10,000㎡以下307,000円
10,000㎡超から50,000㎡以下524,000円
50,000㎡超814,000円

建築確認・中間検査・完了検査等 申請手数料/大阪府

また、確認申請費用の他に、中間検査や完了検査などの手続き・費用も必要です。詳しくは各自治体に確認してください。

ここで注意すべきなのは、上記の費用はあくまで「行政や指定確認検査機関に支払う法定手数料(実費)」に過ぎないという点です。

実際の業務においては、確認申請に必要な複雑な建築図面の作成、構造計算のチェック、行政との事前協議、申請手続きの業務一式を建築士や施工業者に依頼することになります。そのため、法定手数料とは別に、数十万円〜場合によっては百万円を超える「確認申請代行費用(業務報酬)」が別途発生するのが一般的です。

大規模修繕の資金計画を立てる際には、施工費用そのものだけでなく、これらの一連の手続きにかかる代行費用や検査費用が最初から見積書に含まれているか、入念に確認しておくことが予算オーバーを防ぐ鍵となります。

【関連記事】賃貸マンションの大規模修繕費用が払えない…解決策は?

確認申請の手続きに必要な書類

大規模修繕で建築確認申請が必要な場合、以下のような書類を提出します。必要書類は工事の規模や内容、地域によって異なりますので、事前によく確認しておきましょう。

特に構造に関わる工事や増築を伴う場合は、より詳細な図面や技術資料の添付が求められるケースもあります。

【確認申請時に必要な主な必要書類】

  • 確認申請書
  • 建築計画概要書
  • 委任状(代理申請時)
  • 設計図書(意匠・構造・設備図)
  • 構造計算書(対象建物による)
  • 地盤調査報告書 など

確認申請の流れと完了までの期間

確認申請の流れと完了までの期間

確認申請は以下の流れで進んでいきます。

①:該当工事かどうか確認
設計事務所や施工業者とともに、建築基準法上の「大規模な修繕・模様替え」に該当するかをチェックします。

②:必要書類の準備
設計図書や委任状など、申請に必要な各種書類を整えます。

③:行政または指定確認検査機関へ提出
書類をまとめて、管轄の建築指導課または民間の指定確認検査機関へ提出します。

④:審査を経て「確認済証」の交付
内容に問題がなければ、数週間〜1か月程度で「確認済証」が交付されます。

⑤:工事着工
確認済証を受け取った後、ようやく工事に着手することができます。

確認申請の審査期間については、通常2週間から1か月程度とされています。工事期間に影響を及ぼす恐れがあるので、注意して進めましょう。

【関連記事】マンションにおける大規模修繕の進め方は?準備から工事完了までの手順を解説

確認申請をめぐるトラブルについて

確認申請で多いトラブルが「申請忘れ」です。

具体的なトラブルの事例としては、業者が「申請不要」と誤って説明し、発注者である管理会社やオーナーがそれを鵜呑みにするケースや、依頼している業者の担当者が確認申請を忘れていたケース、設計者・施工者が確認申請の必要性を認識していながら黙っていたケース、確認申請が漏れていたことで工事費用が増額したり工期が延長したりするケースなどがあげられます。

【確認申請をめぐるトラブルの事例】

  • 業者が「申請不要」と誤って説明した
  • 業者の担当者が確認申請を忘れていた
  • 設計者・施工者が確認申請の必要性を認識していながら黙っていた
  • 申請漏れによって工事費用アップ・工期が延長

このような背景から、安心して修繕工事を進めるためには、確認申請を含む法的手続きに対応できる、大規模修繕に精通したパートナー選びが重要です。

こうした確認申請をめぐるトラブルの多くは、施工を依頼した業者の「知識不足」や「法令遵守に対する意識の低さ」が原因で発生しています。万が一、確認申請が必要な工事を「未申請(無届け)」のまま施工していることが行政に発覚した場合、工事の即時停止命令が下るだけでなく、建物のオーナー様や管理組合様が「建築基準法違反」の当事者として社会的信用を失ったり、最悪の場合は罰則の対象になったりすることもあります。

また、未申請のまま工事を終えてしまうと、将来的にマンションを売却・売買したり、金融機関から新たな融資を受けたりする際に「違法建築物」とみなされ、取引が成立しなくなるという致命的な二次被害が生じる恐れもあります。トラブルを未然に防ぐためには、契約前に見積書の中に確認申請に関わる項目が明確に記載されているかを確認し、行政への事前相談の結果を書面で報告してもらうよう業者に求めることが、オーナー側の賢い防衛策です。

マンションの大規模修繕は白鳳にお任せください

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私たち株式会社 白鳳は6,000件以上の大規模修繕に携わってきた実績を持ち、設計から施工まで一貫対応が可能な大規模修繕専門企業です。外壁補修やリフォーム、建材の張り替えの他にも、床、内装、タンク、配管、建具などの塗装も得意としています。

また、ドローンによる空撮や目視での事前調査、工事内容を見える化した詳細なお見積もりの作成、ISO 9001に準拠した施工管理の徹底、出来上がりが見えるシミュレーションシステムの運用、向こう10年間の定期的な点検など、安心してお任せいただける体制を整えております。

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