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大規模修繕の費用相場は?積立金不足への対策と安く抑えるコツを解説

2024年1月11日

大規模修繕の費用相場は?積立金不足への対策と安く抑えるコツを解説

マンションやビルなどの物件を安全かつ長期的に維持し、資産価値を保つためには、定期的な大規模修繕工事が不可欠です。しかし、定期的な大規模修繕が必要であることは理解していても、「一体どれくらいの費用が必要になるのか」「予算が足りなくなったらどうすればいいのか」という不安や疑問を抱えているマンションオーナー様や管理組合の担当者様も多いはず。

大規模修繕の費用は建物の規模や劣化の進行度によって大きく異なるため、実務に即した正確な相場観を養っておくことが極めて重要です。

そこで今回の記事では、大規模修繕を検討されている方に向けて、工事費用の目安や床面積あたりの相場、そして万が一費用が足りない事態に直面した場合の具体的な解決策まで、専門的な補足を交えて徹底的に解説していきます。

かなり費用がかかる?そもそも大規模修繕とは?

大規模修繕とは、経年により建物や設備に生じる劣化を一定期間ごとにまとめて修繕する工事のこと。主に、建物全体の維持管理を目的とした工事のことを「大規模修繕」と呼んでいます。

マンションやビルなどは、建築基準法に基づいて建築されているため、最低限の防水性や耐震性は組み込まれていますが、どれだけ優れた技術・資材で建築したとしても年数の経過による劣化は免れません。ですので、定期的に建物全体の修繕を行うのが一般的となっています。

なお、この大規模修繕は10年から15年に1回の周期で行われるのが一般的です。

というのも、2008年から建築基準法の一部が改正され、建物の定期点検と調査基準が厳格化、外壁の前面打診調査は前回の工事から10年に1度行うことが義務化されたこと、また、大規模修繕の対象である外壁工事、防水工事、給排水設備の耐久年数が10年から15年ほどであるのがその理由となっています。

近年では、建築資材や人件費の高騰といった社会的背景も大規模修繕の費用に大きく影響を与えています。工事の周期を延ばしすぎると、劣化が建物の骨組みまで進行してしまい、結果的に1回あたりの工事費用が大幅に跳ね上がるリスクがあるため、実務上は適切なタイミングでの実施が強く推奨されます。

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、12年から15年に1度の頻度で実施しているマンションが多くなっており、工事回数1回目は築15年以下、2回目は築26~30年、3回目は築41年以上で実施されている割合が最も高いというデータが出ています。

かなり費用がかかる?そもそも大規模修繕とは?

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大規模修繕の戸あたり工事費用の平均

大規模修繕は、マンションなどを対象とする工事なのでかなり大きな費用が発生します。ですので、準備不足によるトラブルを招かないためにも、あらかじめ大規模修繕にかかる費用について確認しておくことが大切です。

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、戸あたりの工事金額は下記のようになっています。

戸あたり費用割合
100万円~125万円27%
75万円~100万円24.7%
125万~150万円17.4%
50 万円~75万円9.5%

参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

大規模修繕の工事費用は、もちろんマンションの規模や分譲か賃貸か、また修繕内容によっても費用が変動しますが、半数以上が一戸あたり75万円以上の費用をかけていることが分かります。

ですので、例えば一戸あたりの費用が100万円で総戸数が100戸だとすると、単純計算で大規模修繕1回あたり約1億円と、非常に大きな金額となることが分かります。

実務上の重要なポイントとして、総戸数が少ない小規模なマンションほど、1戸あたりの工事費用が高額になる傾向があります。これは、足場架設費用や現場管理費といった共通の固定経費を、少ない戸数で分割して負担しなければならないためです。逆に大規模マンションではスケールメリットが働きますが、全体の総額が巨額になるため、どちらのケースでも早期からの資金計画が欠かせません。

大規模修繕の床面積あたりの工事費用の平均

また、国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、床面積積(㎡)あたりの工事費用は下記となっています。

床面積(㎡)あたりの費用割合
1.0~1.5万円/㎡33.4%
0.5~1.0万円/㎡19.9%
1.5~2.0万円/㎡15.4%

参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

大規模修繕の際の床面積(㎡)あたりの工事費用は、「1.0~1.5万円/㎡」の割合が最も高く、次いで「0.5~1.0万円/㎡」、「1.5~2.0万円/㎡ 」となっており、これらを参考にすることで、マンションの戸数や床面積から、おおよその費用目安を立てることができます。

ただし、この平米単価は建物の形状や外壁の仕上げ材によって大きく左右される課題があります。例えば、外壁が全面タイル貼りの仕様であるマンションは、一般的な塗装仕上げに比べてタイルの浮き補修や張り替えが必要になるため、費用が相場より高くなりやすいです。また、デザインが複雑な建物や高層マンションなども、特殊な足場が必要となり費用が上昇する要因となります。

大規模修繕費用の算出にはまずは建物診断から

大規模修繕費用の算出にはまずは建物診断から

大規模修繕の概算費用を算出する際は、まず劣化状況を把握するためにも「建物診断」を行う必要があります。この建物診断では、建物や共用設備の劣化状態や改修が必要な箇所などの現状確認を行います。

そして、この建物診断の調査結果をベースに、大規模修繕を行う時期や修繕仕様書案の作成、概算工事費用の算出を行うのが一般的です。

なお、建物診断の方法には、以下のようなものがあります。

診断方法どのように診断するのか
通常の外壁診断(手の届く範囲の打診調査も含む)目視や打診での調査、あるいは建物設計図が建築基準法との適合を調査
住民調査によるアンケート診断居住者にアンケート調査を実施し、普段の生活で気になっている点を管理委員会に代わってヒアリングする
赤外線サーモグラフィーによる外壁診断外壁にあるタイルやコンクリート部分に浮きがある場合、熱がこもるためサーモグラフィーで探知する
ドローンによる外壁診断屋根の劣化や漏水など高所や危険で見えない場所をドローンによって調査する

上記のような建物診断を行い、修繕が必要な箇所を洗い出しますが、修繕箇所の数や大きさ、使用する工法などによっても大規模修繕にかかる費用は変化します。

実務においては、建物診断を実施する前に「いつ・どの場所を調査するのか」を居住者様に周知徹底し、ベランダへの立ち入りなどの協力を円滑に得ることがトラブル回避の鍵となります。また、診断結果を既存の長期修繕計画と照らし合わせることで、優先すべき工事を絞り込み、無駄な費用を削ることができます。

例えば外壁のひび割れの場合、ひびが0.3mm以下か0.3mm以上かで工法が変わります。

0.3mm以下のひび割れの場合は、微弾性樹脂や樹脂モルタルの塗布などで処理できますが、0.3mm以上のひび割れになると、Uカット+シーリング+樹脂モル成形+パターン復旧といった工法が必要となり、その分、費用も多くかかります。特に、外壁に関しては塗料が劣化していると塗膜としての機能が十分に果たせず、壁内部の劣化に繋がる場合もあるので、これ以上劣化が進まないようにしっかり修繕する必要があります。

このようにマンションなどの建物全体を診断し、修繕が必要な箇所をしっかり洗いだした上で、費用を算出することが大切です。

大規模修繕の費用に欠かせない修繕積立金

大規模修繕の費用に欠かせない修繕積立金

大規模修繕にかかる費用は、工事の際に一括で回収するのではなく、区分所有者が「修繕積立金」として毎月一定の金額をマンションの管理組合に収めるのが一般的です。

修繕積立金が高すぎると居住者の負担が大きくなりますが、逆に低すぎる場合は、大規模修繕工事に必要な費用が出せなくなってしまい、その結果、十分な工事ができなくなってしまうリスクもあります。

日本の多くのマンションでは、新築時の販売を容易にするために初期の修繕積立金が極端に低く設定されている「段階増額積立方式」が採用されているケースが多く、これが原因で1回目の大規模修繕時に費用が大幅に不足するという大きな課題に直面しがちです。将来的な負担をあらかじめ均等にする「均等積立方式」への早期移行を検討するなど、定期的な積立金の見直しが不可欠です。

そのため、マンションなどの建物に見合った額の費用を算出することができるよう、あらかじめ計画しておくことが大切です。

修繕積立金の平均費用の算出方法

国土交通省 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、計画期間全体での修繕積立金の平均額の算出方法を以下のように示しています。

計画期間全体における修繕積立金の平均額
Z=(A+B+C)÷X÷Y

A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
X:マンションの総専有床面積(㎡)
Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)
Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)

マンションオーナーの方は、前述の戸あたり費用や床面積あたりの費用等を参考にしながら、上記の計算式で修繕積立金の目安を確認しておくと安心です。

大規模修繕の費用は?見積もりをとる際のポイント

大規模修繕の費用は?見積もりをとる際のポイント

大規模修繕では、工事を発注する前に複数の業者に相見積もりを取るのが一般的です。

実務における発注方式には、施工会社へ直接発注する「責任施工方式」と、設計事務所等のコンサルタントを挟む「設計監理方式」の2種類があります。責任施工方式は窓口が一本化され中間マージンを省くことで費用を抑えやすく、設計監理方式は第三者の厳しい目によって工事品質を担保しやすいという特徴があります。

マンションの規模や管理組合の運営状況に合わせて、最適な方式を選択しましょう。
見積もりを取る際は後々のトラブルを回避するためにも、以下のような点に注意しておきましょう。

・明細があるかどうか、その明細は適切か
・補修工事の項目が「一式」になっていないか
・必要以上に高い材料を使っていないか

補修工事が必要な箇所に関しては、足場を組んだ後にみつかる場合も多々あるため、まずは見込みとして見積もり書をもらい、調査後の再見積もりという形を取るとトラブルを防ぐことができます。

また、平均費用と比較してあまりにも値段が安い場合、必要な工程などが省略されていたり安全性に問題がある材料を使用していたりするなどのケースも考えられます。理由もなく値段が安くなることはありませんので、費用の内訳をしっかり確認して、リスク対策を行いましょう。

【関連記事】大規模修繕の費用はいくら?工事費用の相場や足りない場合の対処法について解説

大規模修繕工事の費用が足りない場合はどうする?

マンションの大規模修繕工事を行う際には、事前の建物診断によっておおよその費用が把握できます。しかし、万が一、費用が足りなかった場合はどうすればいいのでしょうか?

例えば、修繕積立金が足りない場合は、以下のような対策が考えられます。

居住者から一時金を徴収する

大規模修繕工事の費用が足りない場合、修繕費用の不足分を徴収可能な範囲で居住者から一時金として集めるという手段もあります。必要金額が徴収できなければ、工事の延期という事態も起こりかねないため、早急に大規模修繕が必要な場合は選択肢の一つとなります。

ただ、確かに一時金には金利がかからず、手早く不足費用を補うことができるというメリットがあり、それらが魅力的には見えます。しかし実際には、管理組合の承認が必要となり、住民の金額負担が大きい場合は反対されるケースも少なくないため注意が必要です。

実務的には、一時金の徴収には管理組合の総会において、通常決議(過半数の賛成)による承認が必要となります。しかし、一時に数十万円単位の負担を求められる住民の心理的抵抗は非常に強く、合意形成が難航して工事がストップするリスクという高い壁があります。

修繕積立金を値上げする

大規模修繕工事の費用が足りない場合は、修繕積立金を値上げするという方法もあります。

前述の一時金徴収の場合、居住者に対して一気に多額の費用負担を強いてしまいますが、修繕積立金の場合は毎月の支払額に上乗せするため、負担は分散されます。

もちろん一時金と同様に管理組合の承認が必要となるため、反対意見が出る可能性もあります。また、突発的な費用不足には対応できないため、大規模修繕までまだ時間がある場合の選択肢となります。

値上げの手続きも総会での通常決議が必要ですが、住民に納得してもらうためには、「なぜ今値上げが必要なのか」を裏付ける建物診断の結果や将来の確実な修繕計画を具体的に明示する実務上のプロセスが欠かせません。

自治体などの助成金・補助金を活用する

大規模修繕工事の費用が足りない場合、公共団体等の助成金を活用するという手段もあります。

各地方自治体が大規模修繕工事の助成金を給付することがありますが、一定の条件を満たせば受給することができ、基本的に返済義務はありません。

他にも、厳しい審査はありますが、助成金と同様に返済義務のない補助金制度などもあるため、国や公共団体、自治体などで自社のケースに適した内容の助成金・補助金がないか事前に調査しておくといいでしょう。

重要な実務知識として、自治体の助成金や補助金の大半は「工事の着工前」に申請手続きを完了させる必要があります。着工後では受け取れないため、計画段階で自治体の要件(耐震基準や省エネ基準のクリアなど)を調査し、スケジュールを調整しておく必要があります。

金融機関から借り入れる

大規模修繕工事の費用が足りない場合、金融機関などから不足費用を借り入れるという手段もあります。

もちろん借入に際しては管理組合の承認が必要です。また、返済の際には金利も発生するので結果的に修繕積立金の増額なども検討が必要になるケースもあります。

大規模修繕工事に関しては、多額の費用が絡んでくるので、深刻なトラブルにつながる場合があります。定期的に修繕計画を見直すとともに、修繕積立金の金額が適正かを確認しておくことで、いざ大規模修繕が必要になった際に費用不足を防ぐことができます。

大規模修繕を延期する

大規模修繕工事の費用が不足している場合は、最終手段として工事を延期することを検討しなくてはなりません。

ただ、大規模修繕工事を延期する場合、その分、修繕が必要であった箇所がさらに劣化してしまい、建物自体に悪影響を与えてしまう可能性もあります。また、その結果、予定よりも費用負担が増えてしまう可能性もゼロではありません。

あくまでも大規模修繕工事の先延ばしは最終手段とし、できるだけ予定通りに工事が始められるように計画的に修繕費用を積み立てておきましょう。

特に、外壁タイルの剥落や屋上の雨漏りを放置して延期すると、居住者だけでなく通行人へケガをさせるなど、安全上の重大なリスクへと直面します。万が一事故が発生した場合、オーナー様や管理組合が多額の損害賠償を伴う法的責任を問われる課題があるため、延期する場合でも安全に関わる最低限の部分補修だけは先行して実施する実務的な判断が必要です。

大規模修繕の費用をできるだけ安く抑えるには?

大規模修繕の費用をできるだけ安く抑えるには?

マンションの大規模修繕は費用も高額になるため、できるだけ安く抑えたいところですが、見た目や安全面などの兼ね合いがあるため頭を悩ませる部分です。

大規模修繕の費用が安く抑えられたとしても、劣化が早ければ結果的に修繕費用が増えてしまうということにもなり兼ねません。

例えば、初期の施工費用を削るために耐用年数の短い安価な塗料を選んでしまうと、数年後に早くも再塗装が必要になり、足場代が余計に2回分かかってしまうといった大失敗に繋がりかねません。数十年単位のライフサイクルコスト(生涯費用)を見据え、長期的にコストパフォーマンスが最も高くなる提案を受ける視点が、実務上何よりも大切です。

【関連記事】大規模修繕の適切な周期とは?12年周期の理由と延長する方法を解説

大規模修繕は定期的に行うものです。ですので、安易に安い業者に発注するのではなく、20年30年…と将来的なことまで考えてしっかりと費用に見合った提案をしてくれる業者に依頼することが、一番費用を安く抑えるコツとなります。

マンションの大規模修繕なら白鳳にご相談を!

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建物の劣化などを早期に発見し修繕することで、建物の寿命を延ばすことができ、将来的に資産価値の向上につながります。そのため、建物を長く安全に維持するためには、長期的な付き合いができる優良企業との繋がりを持っておくことが重要です。

私たち株式会社 白鳳は6,000件以上の大規模修繕に携わってきた実績を持ち、設計から施工まで一貫対応が可能な大規模修繕専門企業です。外壁補修やリフォーム、建材の張り替えの他にも、床や内装、タンク、配管、建具などの塗装も得意としています。

また、ドローンによる空撮や目視での事前調査、工事内容を見える化した詳細なお見積もりの作成、ISO 9001に準拠した施工管理の徹底、出来上がりが見えるシミュレーションシステムの運用、向こう10年間の定期的な点検など、安心してお任せいただける体制を整えております。

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