大規模修繕の周期はどれぐらい?決め手はこれ
2021年6月16日


建物を定期的に修繕し、安全性や住環境を改善する大規模修繕工事は、12年周期が一般的です。
しかし、必ず12年目に行う必要があるわけではありません。
大規模修繕工事は、大抵12年から15年の周期で行われることが多く、近年では18年周期で大規模修繕工事が行われる例もあります。
では、大規模修繕工事の周期はどのように決定すべきでしょうか。 今回は大規模修繕工事の周期について解説します。
<目次>
なぜ、大規模修繕は12年周期が一般的なのか
なぜ、大規模修繕工事が12年周期で行われることが多いのでしょうか。主な理由を考えてみます。
理由(1) 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」の影響
国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン (※)」は国土交通省が公開している大規模修繕のガイドラインです。 (※外部サイトへ遷移します。)
一般的に、マンションなどの大規模修繕工事は「長期修繕計画」を立ててから進行されます。
「長期修繕計画」は、マンションの管理組合の主導で作成される長期的な修繕計画です。 主に、建物の劣化や損傷などの修繕を行う頻度や、どの程度の修繕を行うかを明確にするため作成されます。
長期修繕計画の作成を補助するため、平成20年に国土交通省が「長期修繕計画作成ガイドライン(※)」を公開しました。 (※外部サイトへ遷移します。)
ガイドラインには、長期修繕計画の基本的な作成方法、毎月の修繕積立金の決め方、長期修繕計画の標準フォーマットおよび作成法などが記載されています。
そのガイドラインの「5 計画期間の設定」の項目に、外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期が12年程度です」という記載があります。
平成20年以降、ガイドラインを参照して修繕計画を作成する場合が多くなったことが、12年周期での修繕が広まった理由だと考えられます。
理由(2) 全面打診調査の実地時期と重なるから
平成20年4月に建築基準法が改正され、定期報告制度の調査、検査基準が厳格化されました。
その建築基準法第8条第1項では「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定められています。 (参照:建築基準法 ※外部サイトへ遷移します。)
そして、タイル貼、モルタル仕上げなどの建築物はタイルなどの外壁落下事故の危険があるため、建造、改築などから10年が経過している場合、3年以内に外壁の全面打診調査を実施することが義務付けられました。
全面打診調査は、タイルをたたいて外壁タイルと下地の間の隙間がないかを見つける調査 です。
外壁タイルは専用の接着剤で貼り付けられます。そのため、経年変化により接着剤が劣化すると、タイルの間に「浮き」と呼ばれる隙間が生じます。
すぐにタイルがはがれることはありませんが、劣化が進んだ外壁タイルが落下すると、人に損害を与える大事故になりかねません。 重大な事故を防止するため、築10年を経過したタイル貼のマンションでは全面打診調査が義務付けられているのです。
また、外壁の全面打診調査を行うには足場を設置する必要があります。足場を設置すると費用がかかるため、同様に足場を用いる大規模修繕工事を同じ時期に実施することが多いのです。
理由(3) 塗膜などの劣化を考慮している
マンションに使われる塗料の寿命はおよそ8年、長持ちして12年といわれています。 12年以上経過した塗料は浮き、ひび割れ、結露、欠損などが進行し、建物を保護することができない状態になります。
例として、3000平米のマンションを12年で大規模修繕する場合、500万の費用が発生するとします。 一方、同じ3000平米のマンションを15年で大規模修繕すると、次の修繕までの間隔が長くなり、劣化が進んでいる可能性が高まります。 結果、700万程度に費用が膨らんでしまう可能性があるのです。
しかし、15年周期で大規模修繕工事を行う場合も、綿密な計画を立てることで以降の支出を減らすことは可能です。
18年目で工事を行う場合も、大規模修繕工事前に小規模な修繕を加えたうえで計画すれば60年後に多くの予算削減が見込めます。
「長期修繕計画」は、雨が多い、海が近い、大通り沿い、大部分が日陰に入るなど、土地や建物の周辺環境も考慮して計画を立てることが大切です。
大規模修繕は2周期3周期以降どう変わる?
12年周期で大規模修繕を行うとすると、12年目は屋上や外壁を中心に大規模修繕が行われます。 24年目は12年目と変わらない工事で済むことが多く、36年目は建物の老朽化が進んでいる時期で、共用部やサッシまわりの取替を検討する時期です。
マンションは築年数に応じて劣化が進みます。そのため、大規模修繕工事は回数を重ねるごとに修繕範囲が広くなって行くことを知っておきましょう。

近年の大規模修繕は18年周期もある
これまで、12年周期で実地されることが多かった大規模修繕工事ですが、近年18年周期での修繕が提案されることもあります。
修繕周期を延ばすことで、修繕にかかる費用も少なくて済むという点が18年周期の工事のメリットとして挙げられます。 これからは18年周期での大規模修繕工事が主流になるかもしれません。 しかし18年周期の場合、次の修繕までの間隔が長いため、局所的な劣化によるトラブルが起こりやすくなり、結果として必要な修繕が増えてしまう場合があります。
大規模修繕工事を18年周期で行うには、綿密な修繕計画を立てて、診断を受けた上で工事に臨むことが重要です。
環境や条件によっては、18年周期よりも12年周期がいい場合や、逆に18年周期の方が合っている場合もあるため、まずは外壁診断とシミュレーションで確認しておきましょう。
マンション部位別の修繕周期の目安
マンションの部位によって、劣化の進み具合は異なり、それぞれ修繕周期の目安があります。
以下は部位別の修繕周期の目安です。
施工部位 | 年数 |
屋上 | 10年 |
ベランダバルコニー | 12年 |
外壁 | 13年 |
廊下や階段 | 12年 |
エントランスなど | 20年でリノベーションが理想的 |
一般的に、マンション全体の大規模修繕は12年から15年周期で行いますが、大規模修繕工事の前に、部位別の小規模な修繕をすることで、建物をより長持ちさせることもできます。
大規模修繕なら白鳳におまかせを

今回は、大規模修繕工事の周期について解説いたしました。
大規模修繕工事の周期決定に際しては、建物が建造された状況や周辺環境によってベストな計画が変わってきす、管理組合側の要望を理解し、アフターケアまで考えてくれる業者を選ぶことが大切です。
マンションは建て替えまでに数十年という期間があります。
その間複数回にわたって修繕が必要になるため、長期的なスパンでケアを考えてくれる優良業者に依頼することが、マンションを長く安全に保つことにつながります。
白鳳はお客様のご希望に寄り添った大規模修繕工事を実現します。
