マンションの3回目大規模修繕の費用目安は?不足時の対策や課題も解説
2024年12月17日


マンションの老朽化を防ぎ、居住者の安心・安全で快適な生活を守るために欠かせないのが大規模修繕工事です。通常、この工事は約12年の周期を目安に定期実施されますが、3回目の大規模修繕を迎えるにあたっては、1回目や2回目とは異なる特有の課題や注意点、そして費用面での大きな変化が生じるものです。
本記事では、マンションの3回目の大規模修繕が重要な理由を詳しく解説するとともに、気になる費用目安や、修繕積立金が不足する場合の実効的な対策についてまとめていきます。
さらに、3回目だからこそ直面しやすい管理組合の課題や、長期修繕計画の見直しポイントについても深く掘り下げてご紹介します。これから3回目の大規模修繕を控えているオーナー様や管理会社様、施設担当者様は、ぜひ予算計画や合意形成の参考としてお役立てください。
<目次>
マンションの3回目の大規模修繕が重要な理由
1回目・2回目・3回目…と約12年周期で行われるマンションの大規模修繕ですが、どうして多くの費用をかけて定期的に大規模修繕工事を実施すべきなのか、その理由をご存じでしょうか?
ここでは、マンションにおいて3回目の大規模修繕工事が重要である理由についてまとめていきます。
安全性を確保するため
マンションの3回目の大規模修繕が重要な理由は、安全性の確保のためです。
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」で、3回目の大規模修繕は築41年以上で行う割合が多いというデータが出ている通り、マンションにおける大規模修繕は約12~15年ごとを目安として行うため、3回目ともなると、建物自体の築年数は約40年以上となっていることが多々あります。
この築年数となると、建物自体の構造や設備、外壁塗装などの劣化が進んでいる可能性があるため、しっかり修繕を行わなければ、老朽化した配管から漏水したり、電気設備の故障によって火災の原因となったりする危険性もあります。
つまり、居住者の安心・安全な生活を確保するためには、1回目や2回目よりも劣化が進行していると思われる3回目の大規模修繕によって、しっかりと劣化箇所を修繕しておく必要があるのです。
特に、目に見えないコンクリート内部の鉄筋爆裂や、共用配管といった重要インフラ設備の老朽化は建物の寿命に直結する重大なリスクとなります。そのため、専門業者による事前の綿密な建物診断と、それに基づく適切な外壁補修が不可欠です。
資産価値の維持・向上
大規模修繕は、マンションの資産価値に大きく影響しています。
不動産市場では、長年、修繕を行っていないマンションは不動産価値が下がり、大規模修繕の直後は不動産価値が上がるというケースも少なくありません。ですので、資産価値を高めるためにも、大規模修繕工事を定期的に実施することが重要となります。
ただし、大規模修繕工事で劣化部分を修復するだけで、マンションの資産価値を高めることができるというわけではありません。
特に3回目の大規模修繕ともなると、マンションの設備や機能のグレードがかなり古くなってしまっているものも多くあります。建物自体の外観の美しさや機能を維持するのはもちろんですが、バリアフリーや省エネ対策など、時代や住民のニーズに合ったマンション性能にアップグレードしていくことが、マンションの資産価値を高めるためにも重要なのです。
このように、時代の変化に合わせて建物の性能を新築時以上に高める工事は「改良工事」と呼ばれ、将来的な賃貸需要の維持や売却価格の安定において非常に大きな差を生み出します。
マンションの大規模修繕3回目 | 費用目安は?

マンションの大規模修繕は、修繕工事の内容、資材や塗料の劣化状態によって差は出てきますが、1回目・2回目・3回目…と回数を追うごとに、比較的、費用が増加する傾向があります。
| 工事回数 | 一番多い金額帯 |
| 1回目 | 4,000~6,000万円 |
| 2回目 | 6,000~8,000万 |
| 3回目以上 | 6,000~8,000万円、10,000~15,000万円 |
※国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに作成
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、1回目の大規模修繕の工事費用(※共通仮設費を含まない)で一番多い金額帯は4,000~6,000万円で、2回目が6,000~8,000万円。そして、3回目以上になると、6,000~8,000万円と10,000~15,000万円の割合が多くなっており、回数を追うごとに総費用が増加傾向にあることが分かります。
なお、3回目の大規模修繕の目安として、1戸あたりの費用を見た場合、一番多いのが75~100万円。床面積で見ると、1平方メートルあたり1~1.5万円が相場となっています。
| 2回目の修繕工事費用 | 一番割合の多い費用帯 |
| 1戸あたりの費用 | 75~100万円 |
| 1平方メートルあたり | 1~1.5万円 |
※国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに作成
1平方メートルあたりの費用については、工事回数によって大きく変動することはないため、大規模修繕を行う際は、1回目・2回目の工事範囲を参考に、どの程度の費用が必要になるか、あらかじめ試算しておくと良いでしょう。
ただし、3回目のタイミングは、給排水管の全面更新やエレベーターの取り替えなど、1回目・2回目では発生しなかった高額な設備更新が重なる時期です。建築関係の修繕だけでなく、これら設備工事の費用が上乗せされることを想定し、余裕を持った資金計画を立てる必要があります。
関連記事:「2回目の大規模修繕は1回目よりも費用がかかる?マンションにおける大規模修繕の周期目安や費用の相場・注意しておきたいポイント」
マンションの大規模修繕3回目 |費用はどこから捻出する?
マンションの大規模修繕にかかる費用は、工事の際に一括で居住者から回収するのではなく、「修繕積立金」を使用するのが一般的です。
「修繕積立金」とは、共用部分の大規模修繕工事やメンテナンスのために積み立てている資金のこと。管理組合を通して、マンションの区分所有者から毎月一定の金額を徴収します。
なお、国土交通省の 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、修繕積立金の額の目安を下記のように算出しています。
| 計画期間全体における修繕積立金の平均額 Z=(A+B+C)÷X÷Y |
A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
X:マンションの総専有床面積(㎡)
Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)
Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)
修繕積立金を算出する際は、マンションの規模に見合った額の費用を準備しておくことができるよう、上記の計算式を参考にしながら、大規模修繕の費用を積み立てておくようにしましょう。
しかし、段階増額積立方式を採用しているマンションでは、当初の計画通りに値上げが進まず、3回目のタイミングで積立金が大幅に不足するトラブルが多発しています。将来を見据えて早い段階から「均等積立方式」への移行を検討するなど、管理組合主導での見直しが健全なマンション維持の鍵となります。
関連記事:「大規模修繕の費用はいくら?工事費用の相場や足りない場合の対処法について解説」
マンションの大規模修繕3回目 |費用が不足する場合は?

マンションの大規模修繕も3回目ともなると、1回目・2回目の工事範囲をもとに、おおよその費用を予測することができます。ただ、想定よりも修繕箇所が多くなることもあるため、実際に試算してみたら費用が足りない…というケースも少なくありません。
では万が一、大規模修繕工事の費用が不足してしまう場合は、どうすればいいのでしょうか?以下からは、一般的に修繕積立金が足りなくなった場合の対策についてまとめていきます。
一時金を徴収する
大規模修繕工事の費用が足りない場合、費用の不足分を一時金として集めるという手段もあります。
予算に達しなければ、必要な修繕ができない、また最悪のケースでは工事の延期という事態も起こり兼ねないため、早急に大規模修繕が必要な場合は、一時金の徴収という手段が選択肢の一つとなります。
この一時金には金利がかからないため、手早く不足費用を補うには良いのですが、基本的に一時金の徴収には管理組合の承認が必要となります。マンションの区分所有者には大きな負担を強いることになるため、その徴収金額が高額であればあるほど、決議が難航してしまう可能性があります。
特に、年金暮らしの高齢の居住者が多いマンションでは、数十万円単位の一時金徴収に対して強い反対意見が出やすく、合意形成が非常に困難になる傾向があります。
修繕積立金を値上げする
マンションの大規模修繕において費用が足りない場合は、修繕積立金を値上げするという方法もあります。
修繕積立金の値上げは、負担額が分散されるのがメリットです。しかし、前述の一時金と同様に管理組合の承認が必要となるため、決議に時間がかかる可能性はあります。
また、一時金とは異なり、突発的な費用不足には対応できない点にも注意が必要です。修繕積立金の値上げは、大規模修繕までまだ時間がある場合の選択肢となりますので、定期的に修繕計画や収支状況を見直し、必要に応じて早い段階から検討しておきましょう。
少しでも値上げ幅を抑えるためには、修繕の優先順位を明確にし、不要不急の工事項目を次回に回すといった柔軟な計画変更も求められます。
不足分を借り入れる
マンションの大規模修繕工事において費用が足りない場合は、金融機関などから不足費用を借り入れるという方法もあります。
もちろん、借り入れに際しては管理組合の承認が必要ですし、返済の際には金利も発生します。ですので、結果的に修繕積立金の値上げにつながるケースも想定しておく必要があります。一般的には、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」などの公的な融資制度を利用するケースが多く見られます。
また、金融機関からの借り入れのほかに、自治体などの助成金・補助金を活用するという手段もあります。
地方自治体によっては、大規模修繕に際して助成金の給付や補助制度を設けていることがあります。これらの受給には条件や審査などがあるケースも少なくありませんが、金融機関とは異なり、基本的に返済義務はありません。
ですので、マンションの大規模修繕工事において費用が足りない場合は、国や公共団体、自治体などに自社のケースに適した内容の助成金・補助制度がないか事前に調査しておくといいでしょう。
特に外壁の遮熱塗装や共用部照明のLED化、バリアフリー改修などは、省エネ・環境配慮関連の補助金対象になりやすいため、事前に施工業者へ確認・相談してみるのがおすすめです。
大規模修繕の延期
マンションの大規模修繕で費用が足りない場合の最終手段としては、修繕費用が貯まるまで修繕工事を延期するという考え方もあります。
ただし、工事を先送りしてしまうと劣化が進行してしまい、その間に建物の老朽化や劣化がさらに進行し、最終的な工事費用が当初の予想よりも大幅に膨らんでしまうリスクがあります。
特に、外壁のひび割れ(クラック)や屋上防水層の破断を放置すると、雨水が建物内部へ侵入して鉄筋のサビやコンクリートの強度低下を招き、修繕不可能な事態に陥ることもあります。
そのため、安易な延期は避け、致命的な箇所だけを部分補修(小修繕)で凌ぎつつ資金を確保するなど、専門家を交えた極めて慎重な判断が必要です。
【関連記事】外壁塗装の剥がれを放置すると?原因や補修費用相場をプロが解説
マンションの大規模修繕3回目 |課題と注意点

1回目・2回目・3回目…と回数を追うごとに、工事範囲も費用も増加する傾向のある大規模修繕。この大規模修繕を円滑に進めるためには、どのようなポイントに注意しておけば良いのでしょうか?
以下からは、特に3回目の大規模修繕における課題と注意しておきたいポイントについて解説していきます。
管理組合員の高齢化
マンションの大規模修繕は約12年~15年程度の周期で行うのが一般的。3回目ともなると築40年以上経っていることも多いため、管理組合員の高齢化が大規模修繕を進めるにあたっての懸念点となります。
管理組合の中には、新しい設備や修繕工事そのものに対して否定的な意見を持たれる方もいますし、リーダーシップを取ってエネルギッシュに動こうとされる方が減って、大規模修繕の計画がなかなか進まない…というケースも少なくありません。
ですので、そのようなケースに陥らないために、
- 積極的に若い世代の参加を促す
- あらかじめアンケート調査やヒアリングを実施して意見を吸い上げる
- 専門家やコンサルタントを招き、修繕の必要性やメリットなどを丁寧に説明する
- 否定的な意見が出た場合には、どうしてそう思うのかしっかりと耳を傾ける
など、それぞれ対応策を検討しておきましょう。
築40年以上ともなれば、管理組合員同士の関係性も深まっているため、日頃のコミュニケーションや事前の根回しが重要です。管理組合員との意見交換を通して信頼関係を築いておくことが、円滑に大規模修繕計画を進めるポイントになります。
高齢化する居住者のニーズ
マンションの大規模修繕が3回目ともなると、管理組合員だけでなく、住民の高齢化も進んでいます。そのため、高齢者が快適に生活できるような設備や機能を取り入れることも大切です。
例えば、階段や廊下に手すりを設置したり、共用部分の段差にスロープを付けてバリアフリー化したりするなど、3回目の大規模修繕では、単に建物の老朽化を修繕するだけでなく、高齢化する居住者のニーズを汲み取るようにしましょう。
居住者が本当に必要としている改修項目(バリアフリー化など)を正確に把握し、スロープの設置や手すりの追加、エレベーターの非接触化など、高齢者が安心して暮らせる「改良」を予算の範囲内で取り入れることが大切です。
次回以降の大規模修繕工事の計画
3回目の大規模修繕では、4回目以降の修繕を意識しておくことも大切です。
マンションの寿命については構造や観点によって異なりますが、国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書」では、鉄筋コンクリート造の住宅・事務所等の平均寿命についてRC系(鉄筋コンクリート)住宅の平均寿命は68年という結果が出ています。
また、物理的に建物が利用できる「物理的耐用年数」と呼ばれる年数であれば、鉄筋コンクリート造であれば100年を超えるとも言われています。
ですので、3回目の大規模修繕工事が終わった後の小規模なメンテナンスや修繕工事のほかに、次回以降の修繕はどうするのか、建て替えを行うべきか…などの検討も視野に入れておきましょう。
専門家のアドバイス・サポート
マンションは、構造や使用する資材によって劣化具合が異なるものです。3回目の大規模修では、1回目や2回目よりも大規模な修繕工事となることが多いため、しっかりと状況を把握した上で修繕計画を練る必要があります。
特に、給排水設備やエレベーターなど、寿命を迎える設備も多く出てくるため、専門業者やコンサルタントとともに適切に修繕箇所を見極めていくのが望ましいでしょう。
大規模修繕の専門家であれば、豊富な知識と実績をもとに修繕計画から居住者たちへの説明会なども円滑に進めることが可能ですし、マンションの未来を見据えた上での提案・アドバイスも期待できます。
ですので、もし、これから3回目の大規模修繕を迎えるという場合は、一度、相談してみると良いでしょう。
関連記事:「大規模修繕で多発するトラブルって?その原因・対策を解説」
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今回は、マンションにおける3回目の大規模修繕の費用目安や工事内容について解説してきました。
マンションは建て替えまでに数十年という期間があります。その間、複数回にわたって修繕が必要になるため、長期的なスパンで考えてくれる優良な施工会社に依頼することが、マンションを長く安全に維持することにつながります。
私たち株式会社 白鳳は6,000件以上の大規模修繕に携わってきた実績を持ち、設計から施工まで一貫対応が可能な大規模修繕専門企業です。外壁補修やリフォーム、建材の張り替えの他にも、床や内装、タンク、配管、建具などの塗装も得意としています。
また、ドローンによる空撮や目視での事前調査、工事内容を見える化した詳細なお見積もりの作成、ISO 9001に準拠した施工管理の徹底、出来上がりが見えるシミュレーションシステムの運用、向こう10年間の定期的な点検など、安心してお任せいただける体制を整えております。
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