コラム

賃貸マンションの大規模修繕費用が払えない…解決策は?

2025年5月16日

賃貸マンションの大規模修繕費用が払えない…解決策は?

賃貸マンションの大規模修繕に向けて積み立ててきた資金が、実際の工事費用に追いつかず払えない……

近年の物価高や資材費の高騰、想定以上の劣化状況などにより、このようなケースは決して珍しくありません。しかし、建物の安全性や快適性の維持、入居者離れや空室リスクを回避するためにも、大規模修繕の縮小や延期は避けたいところです。

そこで今回は、大規模修繕の費用が払えない時の対処方法や解決策についてご紹介しています。さらに修繕費用の支払いタイミングや、修繕費用が払えないとどうなるのか、また費用が適正かどうかを見極めるポイントについても解説しています。

賃貸マンションの大規模修繕費用でお悩みのオーナー様、管理会社のご担当者様はぜひ参考にご覧ください。

マンション大規模修繕の費用はどのタイミングで払う?

マンションの大規模修繕工事にかかる費用は、工事請負契約を結んだ後、段階を追って支払うのが一般的です。通常は「契約時」「着工時」「中間」「竣工後」など、工事の進捗に応じて分割払いが設定されます。

【大規模修繕を支払うタイミング】

  • 契約時
  • 着工時
  • 中間
  • 竣工後

請負業者との契約内容によって支払いスケジュールは異なりますが、着工前にまとまった額を支払うケースも多いため、「修繕費が払えない」といったトラブルに見舞われないように、工事開始時点で十分な資金を確保しておく必要があります。

マンション大規模修繕の費用相場(1回目・2回目・3回目以降)

マンションの大規模修繕工事は、一般的に12〜15年周期で実施され、1回目・2回目・3回目と回を重ねるごとに修繕範囲が広がります。費用相場だけを見ると費用が下がっていくように思えますが(以下の表を参照)、実際は機械設備の更新や水道管などのインフラ修繕工事が追加されるケースが多く、費用相場より高くなる傾向にあります。

回数築年数目安費用相場(戸あたり)
1回目築12〜15年100〜125万円
2回目築24〜30年75〜125万円
3回目築36〜45年75〜100万円

※共通仮設費を含まない
※国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに作成

1回目(築12〜15年)の費用相場

新築から12〜15年程度では設備や構造に大きな不具合は出にくいため、1回目の大規模修繕は比較的軽微な修繕が中心です。費用も控えめで済むケースが多いですが、施工会社や立地条件により差があります。

一番割合の多い費用帯:戸あたり100〜125万円程度
主な内容:足場工事、外壁塗装、防水工事、鉄部塗装、共用廊下の補修など

2回目(築24〜30年)の費用相場

築24〜30年になると建物や配管の経年劣化が進むため、2回目の大規模修繕では、外装だけでなくインフラ関連の修繕も含まれてくるのが特徴です。

一番割合の多い費用帯:戸あたり75~125万円程度
主な内容:1回目+設備更新(給水管・排水管の一部)、屋上防水の再施工など

3回目(築36〜45年)以降の費用相場

築36年以上になると建物全体の老朽化が進み、修繕工事に加えて機械設備の交換や安全対策の工事が必要になります。そのため相場よりも費用が大きく跳ね上がるケースが多くなります。場合によっては建替えの検討が視野に入ることもあるでしょう。

一番割合の多い費用帯:75~100万円程度
主な内容:2回目+本格的な設備更新、エレベーター改修、共用部のバリアフリー化など

※共通仮設費を含まない
※国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに作成

関連記事:「2回目の大規模修繕は1回目よりも費用がかかる?マンションにおける大規模修繕の周期目安や費用の相場・注意しておきたいポイント

関連記事:「マンションの3回目の大規模修繕の費用目安は?工事費用が不足する場合の対策や3回目だからこその課題・注意点とは

マンションの大規模修繕

費用が払えない!マンション大規模修繕の資金不足はなぜ起こる?

マンションの大規模修繕で資金不足に陥る原因はいくつかありますが、まずあげられるのが修繕費用の計画と実際の工事費用との乖離です。築年数が進むにつれて修繕範囲が広がることや、資材・人件費の高騰により、当初の積立計画では足りなくなるケースが増えています。

また、マンションの大規模修繕に備えた修繕計画が作成されていない、もしくは見直しがされていないという理由もあげられるでしょう。経済状況や建物の劣化状況に応じた修繕計画が策定されていないと、想定外の費用が発生し、資金不足を招く原因となります。

費用が払えないとマンションの大規模修繕はどうなる?

マンション大規模修繕の費用が足りないと、工事の一部を延期・縮小せざるを得ず、本来の修繕目的を果たせなくなるリスクがあります。

また、施工途中で資金が尽きた場合、請負業者への支払いトラブルに発展する可能性も。工事の中断や契約不履行といった深刻な事態に陥ることも否定できません。

大規模修繕を適切な時期・適切な内容で実施することは、安全性を向上させるだけでなく、資産価値の維持や、収益性の確保、空室対策にも有利に働きますので、費用が払えないからといって延期・縮小する事態は避けましょう。

マンション大規模修繕費用が払えない時の対処法と解決策

マンション大規模修繕費用が払えない時の対処法と解決策

次に、マンションの大規模修繕費用が払えない時の具体的な対処法と解決策についてご紹介します。

修繕費用の見直し・値上げ

分譲マンションでは、管理費とは別に住民から修繕積立金を管理組合にて徴収し、長期的な修繕に備えますが、賃貸マンションの大規模修繕は、基本的にオーナー自身の資金で対応する必要があります。そのため「お金が足りない・払えない」というリスクが見込まれる場合は、修繕費用の見通しと、資金準備の計画を定期的に見直すことが重要です。

修繕計画の策定や見直しに不安がある場合は、管理会社に相談するほか、大規模修繕に詳しいコンサルタント会社に相談するのも一つの方法です。建物の劣化診断から、現実的な工事内容と費用見積もりまで対応してもらえ、長期的な資金計画も立てやすくなります。

また、日頃のメンテナンスや、入居者に使用ルールを周知徹底することも、設備や共用部のトラブルを未然に防ぐための重要なポイントであり、将来的な修繕コストの抑制に繋がります。

共用部分の活用で資金調達

一部のマンションでは空き駐車場や集会室、空き店舗スペースなどの共用部分を外部に貸し出して資金を調達するなど、マンションの資産を有効利用した方法で定期的な資金確保を図っているケースもあります。こうした取り組みは、修繕積立金の補填だけでなく、将来的な資金計画にも役立つでしょう。

自治体の補助金・助成金を活用

大規模修繕に関わる費用が不足している場合、自治体が実施している補助金や助成金制度が活用できるケースもあります。具体的には、修繕計画の策定費用や、耐震診断・改修設計の費用、バリアフリー化の工事費、アスベスト除去費用などに対する制度が多い傾向です。

【補助金・助成金の例(2025年4月時点)】
大阪市:子育て世帯等向け民間賃貸住宅改修費を補助します
東京都:貸主応援事業(補助金)

補助対象となる条件(築年数・戸数・工事内容など)や募集期間、申請手続きなどは自治体ごとに異なります。申請時期を逃すと受けられないこともあるため、早めに情報収集・相談するようにしましょう。

借入による資金調達

積立金や一時金だけでは費用が賄えない場合、オーナー(大家さん)名義での借入(修繕ローン)が現実的な選択肢となります。ローンを活用すれば、工事を予定通り進めながら費用を分割で返済が可能です。

なお、審査や手続きには時間がかかることもあり、早めに検討と準備を進めなければなりません。借入条件や金利、返済期間などは金融機関によって異なるので、複数社を比較しながら融資プランを選びましょう。

コンサルティング会社・施工会社の見直し

資金不足に直面したときは、費用の捻出だけでなく、そもそも大規模修繕工事の見積もりが適正価格かどうかを見直すことも必要です。コンサルティング会社や施工会社に任せきりにした結果、相場より高額な見積もりが出されるケースも少なからず存在します。

なかでも、マンションの大規模修繕で近年問題視されているのが「談合」と呼ばれる不正行為です。

大規模修繕の発注方式には、設計から工事までを一貫して同じ会社に発注する設計・施工一括方式(責任施工方式)と、そこへ第三者としてコンサルタントなど第三者の専門家を関与させる監修方式、設計監理と工事をそれぞれ別の会社に依頼する設計・施工分離方式(設計監理方式)などがあります。

このうち設計・施工分離方式では、コンサルティング会社が工事会社の相見積もりを取って管理会社やオーナーに提示し、複数社の中から選ぶ競争入札が行われます。しかし、あらかじめ特定の業者に受注させるよう裏で業者同士が取り決め(談合)をしている業者が、ごく一部ではあるものの存在します。

このほかにも、コンサルタントのバックマージン、曖昧な金額表記や見積内容の差異など、見積もりには思わぬ落とし穴があるのが残念ながら実情です。無駄な支出や費用の削減を図るには、コンサルティング会社に任せきりにせず、管理会社及びオーナー自らが修繕計画の内容を精査することも必要です。

関連記事:「大規模修繕工事の内容をわかりやすく解説!失敗しない進め方は

大規模修繕の費用が適正かどうか見極めるポイント

大規模修繕の費用が適正かどうかを見極めるには、市場価格と比較すること、複数社から相見積もりを取ること、そして見積もりの内訳を具体的に把握することがポイントとなります。

市場価格や過去の実績と比較する

適正な費用か見極めるには、マンションの戸数や階数、工事項目が似ている他物件の事例と見比べてみるのがおすすめです。

自治体やマンション管理に関する団体、コンサルティング会社の資料にも、費用相場の事例が掲載されていることがありますので、チェックしてみましょう。

参考資料:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

複数社から相見積もりを取る

1社だけの見積もりでは、その価格が適正なのか判断できません。最低でも2〜3社から相見積もりを取り、価格差や工事内容の違いを比較しましょう。

相見積もりによって、不要な工事項目や相場から逸脱した金額が見えてくることもあります。

見積書の内訳を細かく確認する

見積書の項目が「一式」表記になっている場合、具体的な工事内容や単価が分かりづらく、適正な価格判断ができません。「何に・いくらかかるのか」をきちんと見える化してもらうように依頼しましょう。

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