コラム

マンション大規模修繕で確認申請が必要なのは?落とし穴やトラブル事例も

2025年7月9日

マンション大規模修繕で確認申請が必要なのは?落とし穴やトラブル事例も

確認申請(建築確認)とは、建築物の計画が法令に適合しているかを事前に行政に確認してもらう手続きのことです。

確認申請は、「新築や増築に際して必要な手続きであり、マンションの大規模修繕では不要」だと認識されがちですが、内容次第では手続きが必要になるケースもあります。

そこで今回は、確認申請とはそもそも何か?という基礎的な知識から、マンションの大規模修繕で手続きが必要なケース・不要なケースを、事例とともに解説します。また、確認申請でのよくある落とし穴やトラブル事例についても紹介します。

「確認申請」とは?

「確認申請」とは、建物の工事計画が建築基準法や関係法令に適合しているかどうかを審査してもらうための手続きで、法令上は「建築確認」と呼ばれることもあります。

住宅・商業ビル・工場など幅広い建築物が対象で、基本的には新築の場合に必須の手続きとなりますが、増築・改築・用途変更などのリフォーム工事でも、一定の条件に該当するものであれば手続きが必要です。

手続きは、建物のオーナーや工事業者の担当者が、市区町村の建築主事または指定確認検査機関に申請します。審査に通ると「確認済証」が交付され、それを受けてようやく着工できるようになります。

確認申請が必要な工事を無届けで進めてしまうと、建築基準法違反となり、是正指導や行政処分の対象となる恐れがあるため、工事の計画段階で確認申請の要否をしっかり確認することが必要です。

マンション大規模修繕で確認申請が必要なケース

大規模修繕とは、建物の劣化を防ぎ、長期的な安全性・快適性を維持することを目的に行われる計画的な工事です。主に外壁のひび割れ補修や防水工事、給排水設備の更新などが対象となり、一般的には10〜20年ごとに実施されます。見た目を整えるだけでなく、建物の構造や性能の維持・向上を目的とした重要な取り組みです。

このようなマンションの大規模修繕工事は、原則として「修繕」や「模様替え」に該当するため、確認申請(建築確認申請)は不要です。しかし、次の2つの条件を満たす場合は、確認申請の提出が義務付けられます。

関連記事:「大規模修繕とは?費用に見合う工事の進め方!

①対象建築物が「1号〜3号及び新2号建築物」に該当

建築物の安全性・快適性・環境への配慮を規定した法律「建築基準法」の第6条第1項では、建築物を構造・形態・規模などで分類しており、そのうち「1号〜3号及び新2号建築物」は、安全性や用途上の観点から、確認申請の対象とされています。

なお、2025年4月の建築基準法改正により、従来の「4号特例(4号に区分されていた一般的な戸建てについて確認申請が原則不要になる特例)」が見直され、1号・2号・3号に加えて、新たに「新2号建築物」と「新3号建築物」という区分が導入されています。

また、1号建築物のうち特殊建築物の規模も、「用途部分の床面積100㎡を超えるもの」から「用途部分の床面積200㎡を超えるもの」へと変更されました。

簡単に説明すると「4号が新2号(確認申請必要)と新3号(確認申請不要)に分けられて、確認申請の対象が広がった」という状況です。

マンションの多くは非木造2階建て以上または延べ面積200㎡超の「3号建築物」に該当し、従来の2号・3号の条件と定義は変更されていません。そのため、法改正後も、引き続き確認申請の条件の一つを満たすことになります。

建築物の種別該当条件
第1号(特殊建築物)用途部分が200㎡超ホテル病院映画館など
第2号(木造)3階以上または延床500㎡・高さ13m・軒高9m超木造アパートなど
第3号(非木造)2階以上または延床200㎡超マンションなど
新2号(木造)2階以上または延床200㎡超の平屋建て住宅や小規模施設
新3号(木造)平屋建てまたは延床200㎡以下※従来通り構造計算に関する規定などが審査簡略住宅や小規模施設

詳しくは国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」を参考にご覧ください。

ただし、同じ規模・構造の建築物でも、用途地域によっては確認申請が不要な場合や、自治体の条例によって独自の規制が設けられている場合があります。事前に所管の行政機関へ確認しましょう。

②主要構造部の過半に手を加える修繕に該当

建築基準法第2条第14項では、「建築物の主要構造部の一種類以上について行う過半の修繕」は、確認申請が必要な行為として定義されています。ここでいう主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段を指します。

つまり、壁や柱などの建物を支える重要な部分について、「全体の半分以上」を修繕するような工事は、原則として確認申請が必要になるということです。

【確認申請が必要な大規模修繕の事例】

  • 耐震補強など建物の構造安全性に影響する工事
  • 柱や梁などの構造部材を含む大規模な補強工事
  • バルコニーや共用廊下の形状変更など構造や用途に関わる工事
  • エレベーターの完全撤去一括改修や準撤去型の大規模更新

また、外壁の大規模な意匠変更についても、塗装色や素材の変更によって景観条例に抵触する場合は確認申請が必要です。

大規模修繕で確認申請が不要なケース

大規模修繕で確認申請が不要なケース

「1号〜3号・新2号建築物」に該当し、かつ主要構造部の過半に及ぶ工事は、建築基準法に基づく確認申請が必要となるケースがあると説明しましたが、マンション大規模修繕の場合、多くの修繕工事が建物の構造そのものには大きく関わらず、確認申請が不要となるケースがほとんどです。

主要構造部に該当しない部分:
間仕切壁、間柱、庇、掲げ床、最下階の床、小梁、附け柱、局部的な小階段、屋外階段(※例外あり)

具体的には、以下のような工事が該当します。

  • 意匠変更がない場合での外壁のひび割れ補修や塗り直し
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 共用部の照明設備や給排水管の更新
  • 構造体に影響しない範囲での廊下や階段の床材張り替え

これらの工事は、あくまで既存の性能維持や美観回復を目的とした部分的な修繕であり、建物の強度や構造に直接影響を及ぼさないため、確認申請の対象とはなりません。

大規模修繕における確認申請の落とし穴

条件に該当せず、確認申請は不要だと思っていたところ、実は手続きが必要だったというケースがあります。

そこで次に、マンション大規模修繕において、よくある確認申請の落とし穴を2パターンご紹介します。

落とし穴①:自治体・地域ごとによる条件の相違

確認申請の要否は、全国共通のルールに基づくものの、最終的な解釈や運用は自治体によって異なるのが実情です。

たとえば「過半におよぶ修繕」の解釈については、建物全体の構造部に対する過半か、外壁や屋根など個別の構造部に対する過半かで判断基準が異なる場合があったり、屋外階段についても、単なる附属設備とみなされるか、避難経路としての重要な役割があると判断されて主要構造部とされるかで、結論が変わったりすることがあります。

また、地域によっては、外壁の色を変更するなどの外観変更に対しても、景観条例やまちづくり条例の観点から申請を求められたり、都市計画区域や準都市計画区域では、用途地域や防火規制によって追加の届け出や許可が必要になる場合もあります。

詳しくは、管轄の建築指導課や建築主事に確認しましょう。

落とし穴②:マンションの用途変更

もう一つ見落としがちなのが、「用途変更」が伴う大規模修繕です。たとえば以下のような工事が該当します。

  • 空室を住居から事務所や店舗、宿泊施設(民泊やホテルなど)に変更する
  • 共用スペースをテレワーク用個室やレンタルオフィスに改修する

このような用途変更は、たとえ工事規模が小さくても、建築基準法上、確認申請が必要となる可能性があります。

加えて、用途変更は消防法やバリアフリー法、用途地域の制限、既存不適格(建築・建設時は合法でも法改正により不適合となった物件)などにも考慮しなければなりません。

確認申請の手続きにかかる費用

確認申請の手続きにかかる費用は、自治体ごとに異なるものの、面積に応じて数万円から数十万円になるのが一般的です。たとえば大阪府の場合、確認申請の手続きにかかる費用は次の通りです。

建築確認・検査等の申請手数料【令和7年4月改訂版】より引用

床面積の合計確認申請の費用
100㎡以下38,000円
100㎡超から200㎡以下50,000円
200㎡超から300㎡以下72,000円
300㎡超から1,000㎡以下97,000円
1,000㎡超から2,000㎡以下130,000円
2,000㎡超から10,000㎡以下307,000円
10,000㎡超から50,000㎡以下524,000円
50,000㎡超814,000円

建築確認・中間検査・完了検査等 申請手数料/大阪府

また、確認申請費用の他に、中間検査や完了検査などの手続き・費用も必要です。詳しくは各自治体に確認してください。

関連記事:「賃貸マンションの大規模修繕費用が払えない…解決策は?

確認申請の手続きに必要な書類

大規模修繕で建築確認申請が必要な場合、以下のような書類を提出します。必要書類は工事の規模や内容、地域によって異なりますので、事前によく確認しておきましょう。

特に構造に関わる工事や増築を伴う場合は、より詳細な図面や技術資料の添付が求められるケースもあります。

【確認申請時に必要な主な必要書類】

  • 確認申請書
  • 建築計画概要書
  • 委任状(代理申請時)
  • 設計図書(意匠・構造・設備図)
  • 構造計算書(対象建物による)
  • 地盤調査報告書 など

確認申請の流れと完了までの期間

確認申請の流れと完了までの期間

確認申請は以下の流れで進んでいきます。

①:該当工事かどうか確認
設計事務所や施工業者とともに、建築基準法上の「大規模な修繕・模様替え」に該当するかをチェックします。

②:必要書類の準備
設計図書や委任状など、申請に必要な各種書類を整えます。

③:行政または指定確認検査機関へ提出
書類をまとめて、管轄の建築指導課または民間の指定確認検査機関へ提出します。

④:審査を経て「確認済証」の交付
内容に問題がなければ、数週間〜1か月程度で「確認済証」が交付されます。

⑤:工事着工
確認済証を受け取った後、ようやく工事に着手することができます。

確認申請の審査期間については、通常2週間から1か月程度とされています。工事期間に影響を及ぼす恐れがあるので、注意して進めましょう。

関連記事:「マンションにおける大規模修繕の進め方は?準備から工事完了までの手順を解説

確認申請をめぐるトラブルについて

確認申請で多いトラブルが「申請忘れ」です。

具体的なトラブルの事例としては、業者が「申請不要」と誤って説明し、発注者である管理会社やオーナーがそれを鵜呑みにするケースや、依頼している業者の担当者が確認申請を忘れていたケース、設計者・施工者が確認申請の必要性を認識していながら黙っていたケース、確認申請が漏れていたことで工事費用が増額したり工期が延長したりするケースなどがあげられます。

【確認申請をめぐるトラブルの事例】

  • 業者が「申請不要」と誤って説明した
  • 業者の担当者が確認申請を忘れていた
  • 設計者・施工者が確認申請の必要性を認識していながら黙っていた
  • 申請漏れによって工事費用アップ・工期が延長

このような背景から、安心して修繕工事を進めるためには、確認申請を含む法的手続きに対応できる、大規模修繕に精通したパートナー選びが重要です。

マンションの大規模修繕は白鳳にお任せください

マンションの大規模修繕は白鳳にお任せください

私たち株式会社 白鳳は6,000件以上の大規模修繕に携わってきた実績を持ち、設計から施工まで一貫対応が可能な大規模修繕専門企業です。外壁補修やリフォーム、建材の張り替えの他にも、床や内装、タンク、配管、建具などの塗装も得意としています。

マンションは外部環境や経年劣化により、定期的なメンテナンスや修繕の必要が生じます。建物を長く安全に保つためにも、長期的に安心してお付き合いできる優良業者に依頼することが大切です。

マンションごとの状況に合わせて最適な方法をご提案いたしますので、大規模修繕・外壁塗装でお悩みのマンション管理会社様、管理組合の担当者様、オーナー様はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。ご相談は無料です。

お問い合わせ

無料の相談、現地調査など、まずはお気軽にご相談ください。
規模別の見積もりのサンプル資料もダウンロードしていただけます。

お問い合わせ窓口

あらゆるサイズの現場に対応可能です。
ぜひお気軽にお声がけください。

よくあるご質問はこちら

大規模修繕専門企業株式会社 白鳳

お電話でのご相談受付時間:平日10時~18時

06-6115-7980

規模別お見積りの
サンプル資料公開中

  • 比べてわかる納期価格
  • 事前協議にお役立ち
  • 着工までの流れが早わかり
カタログ無料公開

お問い合わせに迷われている方へ ご要望に応じた窓口をご用意しています